トレンダーズ、10代のスマホサービストレンドを調査
若年層のトレンドやインサイトを分析する、トレンダーズ内のマーケティング研究機関「TT総研 -Teens Trend総研-」(ティーティー ソウケン)は、「10代のスマホサービストレンド」に関する意識・実態調査を行った。
調査は315名の10代男女に「ほぼ毎日使っているスマホサービス」について、連絡ツール、SNS、マルチメディア、ライフスタイル、ゲームという5つのカテゴリーそれぞれの上位3つを回答してもらう形で実施。各カテゴリーの調査結果と考察は以下のとおり。
◆連絡ツール
ほぼ毎日使う“連絡ツール”について聞いたところ、315名中「LINE」という回答が284となり、「Twitter」が100、「Instagram」が90と続く結果となった。
TwitterやInstagramについては、フィードを投稿したり閲覧したりといったいわゆる“SNS”としての使い方だけでなく、約3割がメッセージ機能などで“連絡ツール”として使っている実態が明らかとなった。
その他にいくつかの回答が集まったのが、学生限定アプリ「ひま部」、ゲーマー向けチャット「Discord」。また、少数ながらゲイ向けサービス「DISCO」の名も挙がった。これらのサービス特徴から、今の10代は他の世代が入ってこられない、大人に邪魔されない限定的な空間や、自分の趣味に特化した人だけで繋がる空間に居心地の良さを感じている様子がうかがえる。
◆SNS
毎日使っている“SNS”として最も多く回答があったのは、「Twitter」(回答数:195)。次いで「LINE」(回答数:153)、「Instagram」(回答数:113)と続いた。連絡ツールで圧倒的な利用率を誇るLINEは、10代にとってSNSとしての認識も非常に強いことが分かる。
また特徴的なのは、中高生のSNS活用法として知られる“勉強垢”の存在で、これは学習の記録や勉強法を投稿し、同じように勉強に取り組む同世代同士で繋がることで互いにモチベーションアップを図るというもの。今の10代にとってデジタル学習は当たり前となっており、学習管理のためのプラットフォーム「Studyplus」や、海外の人と繋がって語学学習ができる「HelloTalk」を、SNSとして活用していることが見てとれる。ここからは、「勉強をする行為=同世代間のコミュニケーション」と捉えている様子がうかがえる。
◆マルチメディア
動画を中心とするサービスを“マルチメディア系”として質問したところ、最も多かった回答は「YouTube」(回答数:206)。次点以降に大きく差をつけており、「動画を見る=まずはYouTube」という10代の意識がうかがえる。2位は「ニコニコ動画」で回答数25、3位には「TikTok」が回答数12でランクインした。
YouTubeやニコニコ動画のようなポータル系のサービスの他、複数回答が集まったのはゲーム実況アプリ「Mirrativ」や、音楽SNS「nana」。単なる“動画”ではなく、こうしたジャンル特化型の動画サービスが一部ユーザーの間でアクティブに利用されている。また、「TVer」や「AbemaTV」をはじめ、「Netflix」、「Hulu」などの大手VODサービスの名前も挙がった。若者のテレビ離れが指摘される中、今の10代は他の世代よりも動画コンテンツが身近な環境で育っているため、放送時間に縛られずに視聴するのが当たり前になっていることはもちろん、動画コンテンツに対して目が肥えているということも、このような状況の一因と言える。
◆ライフスタイル
カメラアプリなどを含む“ライフスタイル系”サービスは、SNSや動画サービスなどに比べてより多様な名前が挙がる中、最も回答が多かったのは、かわいい自撮り加工が楽しめるアプリ「SNOW」(回答数:32)。そしてフリマアプリの「メルカリ」(回答数:31)、写真加工アプリの「B612」(回答数:22)と続いた。
上位3つの他には、スケジュール管理からアパレルECまで、様々なジャンルのサービス名が挙がったが、特に注目なのは「LIPS」「LUCRA」「ST channel」といった女性向け情報発信サービス。3つともピンクをメインカラーとしたアイコンになっている。“ミレニアルピンク”(今の10代後半~20代を中心とした世代が好む、様々なピンク色のこと)というワードが生まれるほど、今の若年女性はピンクに対して繊細な感性とこだわりを持っており、情報発信サービスも彼女たちの細やかなインサイトを読み取りながら、メディアコンセプトやアイデンティティを細かく設定している。このような状況から、かつてのような「若い女性みんなが見るメディア」は今後生まれにくく、情報収集の場はますますトライブ化していくことが予想される。
◆ゲーム
“ゲーム”についてもライフスタイル系と同様、様々なタイトルが挙がり、最も多く回答が集まったのはバトルロワイヤルゲーム「荒野行動」(回答数:29)。メディアミックス作品「BanG Dream!」シリーズの「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(回答数:21)、「モンスターストライク」(回答数:20)と続いた。
注目すべきは、メディアミックス作品の名前が挙がっている点。ひとつのストーリーを軸としたプロジェクトの一環としてゲームを楽しむ層が一定数存在していると考えられ、スマホゲームは今の10代にとって、自分が好きなコンテンツストーリーをより楽しむための娯楽であり、映画やアニメと横並びになって受け入れられている様子がうかがえる。
【調査概要】
・調査対象:15歳~19歳 男女 315名
・調査期間:2018年5月17日(木)
・調査方法:「LINE Research Platform」を活用したスマートフォンリサーチ