博報堂DYHD、戸田社長が年頭所感を掲出
株式会社博報堂DYホールディングスは2018年1月1日、代表取締役社長 戸田裕一氏の年頭所感を掲出した。
(以下全文)
あけましておめでとうございます。
「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉をよく見聞きするようになりました。2030年までに様々な社会課題を解決することを目指し、国連で採択されたものです。政府、企業や団体で取組んでいらっしゃる方もおられることでしょう。
昨年10月末、このSDGsの国連における責任者であるトーマス・ガス国連事務次長補が当社を訪問されました。その際、SDGs達成に向けてのビジョンや、理解促進に向けた企業の取組みについて意見交換を行い、有意義な時間を過ごさせていただきました。契機となったのは、SDGsの日本における普及を目指した取組みに、博報堂DYグループがCSRとしてご協力申し上げたことです。
当社グループのCSRは、「生活者と社会の中に『新しい幸せ』を生み、その幸せをつないで、広げていくこと」を基本理念としています。企業として果たすべき責務を誠実に果たすことにとどまらず、社員一人ひとりが本業である日々の仕事で企業、団体やメディアのみなさんと共に取組むこと、また一人の生活者としての自発的な取組みを後押しすることで成り立っています。その基盤には、当社グループのフィロソフィーである「生活者発想」と「パートナー主義」があります。
ガス氏からは、「SDGsの理念である『誰も置き去りにしない』は、博報堂DYグループのフィロソフィーである『生活者発想』につながると言えるものがある」との言葉を頂戴しました。
「誰も置き去りにしない」という理念は、経済成長の恩恵を受けられない人々が増えて格差が広がり、社会の分断化が進み、世界が不安定なものとなってしまっている状況に対するものです。効率だけを追い求めて、誰かを取り残してしまうことなく、社会課題に取組むというチャレンジです。
一方で、「生活者発想」は、人々を単なる「消費者」ではなく、「生活する一人ひとり」として深く洞察していくことです。人そのものを見る、生活者を中心とした考え方です。
そして、「生活者発想」には、「その人にとって、ほんとうに善いことか」という問いかけが極めて重要です。生活者の集合が社会であり、その問いかけは「社会にとって、ほんとうに善いことか」ということでもあります。「生活者発想」の最終的なゴールは、すべての生活者一人ひとりが、自分らしくいきいきと生きていける世の中だと考えています。「誰も置き去りにしない」というSDGsの理念は、まさに当社グループの「生活者発想」に通じるものです。
近年、企業におけるマーケティングの概念は大きく変化、拡張してきました。製品中心の「ソン・トク」のマーケティングから、ブランドを軸とした「好き・嫌い」のマーケティングへ。さらには、「社会にとって善いこと」を課題解決する「善し・悪し」のマーケティングへ。
マーケティングの概念の変化と拡張に対しても、生活者一人ひとりを深く洞察し、生活者と社会にとって善いことかを問いかけていく、「生活者発想」が重要となります。
当社グループでは、長年にわたり培ってきた「生活者発想」のもと、包括的な生活者データの獲得とその運用システムである「生活者データ・マネジメント・プラットフォーム(DMP)」を開発、導入してきました。独自に蓄積してきた膨大な「生活者データ」と、デジタル化で入手可能になった「生活者の意識・行動・購買データ」、お取引先からご提供いただく「メディアデータ」や「顧客データ」を統合し、先端テクノロジーを用い分析することで、生活者のインサイトを発見し、質の高いマーケティング・ソリューションをご提供してまいります。
それが、「”生活者データ・ドリブン”マーケティング」です。
データやテクノロジーを駆使することで「生活者発想」を進化させ、当社グループの強みであるクリエイティビティを発揮し、生活者や社会が求める新たな価値創造を実現していきたいと考えております。
お取引先の、そして生活者のパートナーとして共通の課題を持ち、ともに解決していくことで皆様の信頼にお応えし、生活者一人ひとりが、自分らしく、いきいきと生きていける社会の実現に貢献してまいります。
本年もよろしくお願い申し上げます。