世界の広告費動向調査 アジア太平洋地域は堅調成長、全体では回復傾向に 13年1~3月

ニールセン株式会社は8月2日、全世界の広告費を調査する「Global AdView Pulse」2013年第1四半期(1-3月)版の結果を発表した。

広告支出は世界全体で回復傾向が続いているが、2013年第1四半期の増加ペースは微増で、対前年同期比でわずか1.9パーセントの伸びに留まった。地域ごとに大きな差が見られ、ヨーロッパでは減少、中東、アフリカ、中南米、アジア太平洋では微増、北米では増減なしとなった。中東およびアフリカでの広告支出は、2012年前半の落ち込みから持ち直しの動きが続いており、第1四半期には2.9パーセントの伸びを記録した。また第1四半期に11.9パーセントの伸びを記録した中南米の広告支出は際立っており、地域内全ての国で広告支出が増加した。

アジア太平洋の広告支出は堅調な伸びを続け、第1四半期は5.8パーセントの増加。中国、インドネシア、フィリピンは、ほぼ20パーセント増と著しく成長した。この地域で支出が減少したのは日本のみ(1.1パーセント減)だった。

媒体別では、近年のトレンドが継続し、広告支出内訳ではテレビが今もなお大きな割合を占めており(全媒体中の59%を占め、世界全体で3.5%の増加)、今後すぐにこの地位が脅かされることはないといえる。

しかしながら、テレビ広告でさえもヨーロッパ経済不況の影響は避けられず、第1四半期のヨーロッパにおける広告支出は2.9パーセント減少した。

オンライン・ディスプレイ広告は、第1四半期で26.3パーセント増と驚異的な伸びを記録。とりわけアジア太平洋(33.2%)、中南米(48.2%)でオンライン・ディスプレイ広告の成長が著しくなっている。また、オンライン・ディスプレイ広告は、広告全体が落ち込むヨーロッパでも、10.4パーセント増と大きく成長した。

印刷媒体広告はゆるやかな減少が続き、第1四半期は雑誌が-2.8%、新聞が-4.7%でともに減少。新聞は北米、ヨーロッパ、アジア太平洋で、雑誌はヨーロッパ、アジア太平洋、中南米、中東、アフリカでそれぞれ減少し、世界全体で印刷媒体広告が減少している。それでも、新聞・雑誌をあわせた媒体シェアはほぼ30パーセントを占めている。


産業別では、最も増加したのはインダストリー&サービス産業(8パーセント増)。その一方、金融、自動車業界での広告費は減少した。インダストリー&サービス産業の中では特に鉱工業、農業、不動産業への広告支出が大きく伸び、世界全体で28.7パーセントの増加となった。一般消費財(FMCG)も、この四半期で6.1パーセントと大きく増加。特に中南米では、22.2パーセントの驚異的な伸びを記録した。飲料のサブカテゴリは9.7パーセントの増加で世界全体の成長の原動力となった。飲料の中ではスピリッツ(蒸留酒)への広告支出が36パーセント増と大きく成長し、特に目を引いている。金融、自動車産業は、西洋諸国の長引く経済問題が主な要因となって伸び悩んだ。