大日本印刷、平成24年3月期決算 約247億円の減損などにより、純利益マイナス163億5,600万円
大日本印刷株式会社は、平成24年3月期決算を発表した。
<平成24年3月期の連結業績>
(平成23年4月1日~平成24年3月31日)
売上高:1兆5,072億2,700万円(前期比5.2%減)
営業利益:340億1,500万円(同 49.8%減)
経常利益:368億4,300万円(同 41.3%減)
当期純利益:▲163億5,600万円(前期は250億3,200万円の純利益)
事業ビジョンである「P&Iソリューション」に基づき、積極的な営業活動を展開して、顧客ニーズに対応した製品、サービス及びソリューションを提供するとともに、品質、コスト、納期など、あらゆる面で強い体質を持った生産体制の確立を目指す「モノづくり21活動」に取り組み、業績の確保に努めた。
特に情報コミュニケーション部門では、生活者の消費行動の変化やソーシャルメディアの進展、情報セキュリティへのニーズの高まりなどにより、事業環境が大きく変化しているが、技術やノウハウを活かし、新たなビジネスモデルの構築を進めている。また、生産効率の向上のため、“全体最適”の視点に立って、グループ会社の統合や全国の生産管理体制の再編などの事業構造改革に取り組んだ。
ディスプレイ製品関連部門は、液晶テレビの全世界的な販売の不振や過剰在庫に対応して大規模な生産調整が実施されるなど、主要取引先の事業方針の変更・転換の影響を大きく受け、業績が大幅に悪化した。
こうした受注環境の変化に迅速に対応するため、液晶カラーフィルターなどのディスプレイ関連製品について、生産拠点の集約や、成長が見込まれる製品へのシフトなど、事業構造改革に取り組んでおり、同分野の製造設備などについて、将来キャッシュフローに基づいて再評価し、約247億円の減損を実施した。
<印刷事業>
・情報コミュニケーション部門
出版印刷関連は、出版市場の低迷が続くなか、一貫製造ラインなどの強みを活かして書籍は増加したものの、雑誌は減少した。
商業印刷関連は、企業の広告宣伝費の回復の遅れから、チラシ、パンフレット、カタログなどが全般に低調で、前年を下回った。
ビジネスフォーム関連は、通信系、交通系及び電子マネー向けのICカードなどが好調に推移したが、パーソナルメールなどのデータ入力から印刷・発送までの業務を行うIPS(Information Processing Services)が減少し、前年を下回った。
教育・出版流通事業は、連結子会社の増加などにより、前年を上回った。
その結果、部門全体の売上高は7,146億円(前期比1.0%減)、営業利益は154億円(前期比14.6%減)となった。
・生活・産業部門
包装関連は、ペットボトル用無菌充填システムやペットボトルの第一次成型品であるプリフォーム、機能性に優れたフィルムを使用した軟包装が増加し、前年を上回った。
住空間マテリアル関連は、DNP独自のEB(Electron Beam)コーティング技術を活かした環境配慮製品などが増加し、前年を上回った。
産業資材関連は、リチウムイオン電池用ソフトパックや太陽電池用バックシートなどのエネルギー関連部材、フォトプリンター用の昇華型熱転写記録材(カラーインクリボンと受像紙)が増加したが、薄型ディスプレイ用反射防止フィルムが減少し、前年を下回った。
その結果、部門全体の売上高は5,228億円(前期比1.7%減)、営業利益は318億円(前期比32.0%減)となった。
・エレクトロニクス部門
液晶カラーフィルターは、スマートフォンやタブレット端末向けの中小型品が好調に推移したものの、世界的な販売の伸び悩みなどにより液晶テレビ市場が低迷し、前年を下回った。
電子デバイス関連は、半導体市場が世界的に厳しい状況にあり、高密度ビルドアップ配線板が増加したが、フォトマスクやハードディスク用サスペンションなどのエッチング製品が減少した。
その結果、部門全体の売上高は2,248億円(前期比21.5%減)、営業損失は46億円(前期は122億円の営業利益)となった。
<清涼飲料事業>
・清涼飲料部門
個人消費が低調に推移し、販売競争が激化する厳しい状況のなかで、主力商品の「コカ・コーラ」「ジョージア」のほか、国内最軽量ボトル「ecoる ボトル しぼる」を使ったミネラルウォーター「い・ろ・は・す」の販売拡大に努めた。
その結果、コーヒー飲料は減少したが、ミネラルウォーターが増加し、部門全体の売上高は570億円(前期比9.5%減)、営業利益は13億円(前期比6.8%増)となった。