幻冬舎、MBOで上場廃止に。中長期的な視点でブランドバリューの向上を目指す
株式会社幻冬舎は、10月29日の取締役会で、マネジメント・バイアウト(MBO)を実施し、代表取締役社長の見城徹氏が代表取締役を務める株式会社TKホールディングスによる幻冬舎の普通株式および新株引受権に対する公開買付けに賛同するとともに、株主に対しては公開買い付けに応募するよう勧めることを決議し、発表した。これによって、幻冬舎はジャスダックへの上場を廃止し、TKホールディングスの完全子会社となる予定。
幻冬舎は、出版およびその周辺分野に経営資源を集約し、事業基盤の強化・拡充を図ってきた結果、平成22年3月期には増収増益を達成することができた。しかし、ヒット作品や長期間にわたって販売が継続する作品(ベストセラー作品やロングセラー作品)の有無により業績が大きく変動する傾向があり、広告収入の減少により雑誌不況が続くことが見込まれるため、業績拡大が今後も継続する保証はなく、中長期的にはより一層厳しさを増すことが見込まれる。
このような中、中長期的な視点での出版社としての幻冬舎のブランドバリューの向上をはじめ、創業以来培ってきた独創的、魅力的な作品づくりを核としつつ、既存の枠にとらわれない新ジャンルへの展開、紙とデジタルを組み合わせた新たなビジネスモデルの構築などが不可欠であり、そのためには現在の経営環境を抜本的に見直し、短期的な売上や利益、株価にとらわれず、作家や編集者、読者が本当に作りたいもの、読みたいもの、ほしいものを常に生み出せるような経営環境を創造する必要があるとの認識に至り、今回の公開買付に至ったと、幻冬舎は説明している。
買付期間は11月1日から12月14日。買付価格は1株22万円となっている。