[特集]高齢の親を持つ40代の息子・娘世代をターゲットにした「オヤノコトマガジン」~リアルイベントで出展企業からも支持されるその理由とは?~
今回取材させていただいたのは、高齢の親の健康や生活が気になり始める35歳から40歳代を読者ターゲットとするフリーペーパー「オヤノコトマガジン」。都心部を中心とした街頭配布や、ウェブを通して登録した会員への宅配などで10万部を発行している。
この「オヤノコトマガジン」がセミナーを開催すると、80名の定員枠に150名以上の応募が殺到するという。また、毎年7月に開催するイベントには、2日間で2万人以上の来場者が訪れ、リピート出展する企業も少なくない。
同メディアがもつ集客力の秘密は何か? 発行元である「株式会社オヤノコトネット」代表取締役 大澤尚宏氏にお話を伺った
●高齢者とその家族2万人以上が来場する「オヤノコトエキスポ」
同社では毎年7月、有楽町の東京国際フォーラムを会場に、高齢者向けの商品・サービスを集めたイベント「オヤノコトエキスポ」を開催している。マスメディアなどからの情報で行動することが極めて少ない高齢者層を2万人以上も集客するイベントとして、介護、防犯、相続、健康など高齢者層をターゲットとした事業を展開する企業から注目される。08年に初めて開催され、翌09年はリーマンショックの影響下にもかかわらず、新規出展企業を16社も増やし、リピート出展した企業の中には小間数を増やす企業も現れている。
「子供世代を味方につけることで、親を動かそうというのが、我々の基本的な考え方です。親に万が一のことが起これば、子供は会社を辞めて田舎に帰らなければならないかもしれない。そういうリスクが潜在的に眠っていることを理解すれば、親子の間にもっとコミュニケーションが生まれて、世代間の思いやりの連鎖が消費を生み出すと考えています」(大澤氏)。
09年の来場者に関する資料を見ると、60歳以上の親世代は来場者全体の27.3%であるのに対し、35歳から50歳代までを含む子供世代が46.3%を占めている。子供世代が親のために、あるいは親を伴って来場していることがわかる。
●売れる商品の情報が、高齢者に届いていない
「従来のマーケティングは、健康に不安を抱えていたり、より安全に暮らしたいと思っている普通のシニア、あるいは親子といった場合のニーズとピントがずれている」と大澤氏は言う。
例えば、自動車に乗った際に車内で杖を立てかけておくための「杖ホルダー」という商品がある。高齢者にとっては必要・便利なアイテムであるはずだが、同じく車内で利用する後付け専用のドリンクホルダーと同じ感覚でカー用品店に並べているために、売行きはかんばしくなかった。ところが、このエキスポでは売り切れる程の勢いだった。
●子供を味方につければ、高額商品も売れる
もったいない世代ということもあり、一般的に財布の紐が堅いと言われる高齢者だが、消費ニーズが全くないわけではない。必要な商品・サービスの情報がきちんと届き、さらにそこに子供たちの薦めが加われば、高額商品であっても購入へと傾く可能性は格段に高くなる
例えば、筋力が衰えてくる高齢者の足の悩みに応える靴がある。オーダーのため1足4~5万円という価格になるが、エキスポが開催された2日間だけで200人が足型をとった。また、高価なマッサージ機でも、1日目に持ち合わせがないと言って帰った客が、2日目に現金を持って再び来場するというケースが複数見られたという。
いずれのケースも、高齢者本人にダイレクトにドアノック営業をかけたとしたら、ほとんど成果がなかったはずだ。今の時代、騙して儲けようという悪徳業者が少なくないので、高齢者側にも騙されたくないという心理が働く。しかし、息子あるいは娘が一緒であれば、その商品・サービスに対して安心感がうまれ、購入へと結びつく。
「子供世代を味方につける」という同社の戦略は、来場者の獲得だけでなく、出展企業に売上をもたらし、結果、先に述べたような新規出展企業の獲得、リピート企業の小間数増に結びついている。
●定員80名の枠に150名以上が殺到するセミナー
同社は、イベント以外にも、スポンサー企業と組んだセミナー「丸の内オヤノコト塾」を開催している。親のことが気になりはじめた40歳代の丸の内ビジネスマンを中心に同社が集客し、スポンサー企業がマーケティングを兼ねてセミナーを行う。過去2回の開催では、いずれも定員が80名のところに150名以上の申し込みがあり、立ち見がでるほどの盛況ぶり。
スポンサーになるには基本価格1回170万円を支払うことになるが、目的意識をもって集まった100名以上の人々に自社商品・サービスを直接PRできるうえ、その場でアンケートを行うことで、見込み顧客として参加者の個人情報を得ることができる。前回、介護とお金をテーマとした生命保険会社のセミナーには104名が参加し、そのうちの約1割が直接の相談に結びついたという。
主なテーマとなるのは「オヤノコト」に関わる防犯、相続、介護、安否確認、健康、遺産管理など。開催にあたっては集客可能なテーマかという審査が行われるが、同社は、4月以降、毎月1回ほどのペースで開催していきたいとしている。
高齢者マーケットへのアプローチは多々あるが、メディアとして成功している事例はごくまれと言えるだろう。今回の取材では、その成功の理由の一端が掴めたと同時に、子供世代を巻き込むことで、本来期待される購買行動にまで結びつける事例を見ることができたのではないだろうか。
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株式会社オヤノコトネット 担当: 三枝
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