[特集]不況下の見本市ビジネスで、拡大を続ける企業は何をしているのか?~高い出展リピートを獲得するリード エグジビション ジャパンの手法~

広告業界にとどまらず、見本市・展示会業界も2009年は厳しい状況が続いた。
そのような中、国際見本市を主催しているリード エグジビション ジャパン株式会社は、見本市の規模を拡大させている。

2009年11月11日(水)~13日(金)、同社は幕張メッセで「第6回 国際フラワーEXPO」、「第3回 国際ガーデンEXPO」、「第1回 国際エクステリアEXPO」を開催した。
過去最多の855社が出展、来場者数についても過去最多の31,928名であった。

上記3つの見本市における出展社数は、2004年の313社から増加を続け、2007年に732社、2008年に846社、今回は855社の出展。2010年には過去最多の1100社の出展を見込んでいる。

不況下においても出展社、来場者を伸ばす同社。
果たして、他の見本市運営・主催企業との違いは何か。
国際フラワーEXPOの広報を担当する、リード エグジビション ジャパンの光永恵氏に伺った。


見本市開会式での光景

見本市の開会式、テープカットには業界団体の会長のほか、来場者側である有力バイヤーが顔を揃えていた。
その顔ぶれは、(株)エンチョー遠藤社長、(株)カインズ土屋社長、(株)イトーヨーカ堂戸井販売本部長、(株)ダイエー森常務など。
リード石積社長は、同社にとって直接の顧客となる出展社だけでなく、「出展社のお客様である来場者」との間にも人脈を築く事に注力。
出展社に対して、有力バイヤーのトップを来場者として招くことで、出展社に売上アップのチャンスを提供している。

質の高い来場者へのプロモーションを徹底

リードの来場者集客の徹底ぶりは、これだけにとどまらない。
今回の国際フラワーEXPOに際して、同社の社員は主な来場者となる花屋に来場してもらうために、多くの花市場を朝6:00に訪問。
各市場に何十件もの花屋を連れて来場してもらう、という集客を行った。

リード社員は市場で花屋1件1件に参加を呼びかけて来場をとりつけ、市場に対しても一緒に来場してくれるよう営業を行った。会場では、約400件の花屋が市場の責任者とともに商談ブースをまわり、仕入れたい花があればその場で市場に仕入れてもらうように依頼をかける。出展社から見れば、バイヤーと市場が団体で、しかも商談を持って来てくれるのである。出展社にとってはこんなにありがたい見本市はないだろう。

同社は出展社への営業と同じくらい、来場者へのプロモーションにも力を入れているという。
「質の高い来場者を数多く集める事は、展示会主催会社としては、出展社に満足いただく上で当然。」と光永氏は語る。
見本市終了後には一年後の見本市の完売がほぼ見える状態になるという。

アジアの有力バイヤー800名を招待

来場者の質と数へのこだわりは、今回の国際フラワーEXPOだけではない。
リードは年間53本の見本市を開催しているが、そのすべてで、来場者となるバイヤーの質と数を徹底して追い続けている。

例えば、同社を代表する見本市の一つ、国際宝飾展では、中国、韓国、台湾などアジア地域の有力宝飾小売店800名に対して、リードスタッフが現地を直接訪問して、来場を説得、招待しているという。

来場者にきちんと満足のいく商談をしてもらうことは、結果的に出展社からの高い満足を得られることにつながる。


リピート理由は、見本市出展が「売上につながるから」

不況下にもかかわらずほとんどの出展社が、すでに来年の出展申し込みを済ませているという。
また、今後の出展を検討するために見本市に訪れた250社からも、多数の新規出展申し込みが入っている。

1年も先の見本市に、会期中に申込んだ理由は「この見本市に出展すれば、売上拡大につながるから」。


広告業界でも学ぶところは多い

ファインドスター広告ニュースの特集で登場頂いている、どの成功企業も広告主の顧客となる読者、出展社の顧客となる来場者の質にこだわる。
具体的には、読者や来場者が果たしてどんな属性なのか、手にとるように分かるまで具体的に把握している。
さらに彼らが何を求めているのか、どうしたら喜ぶのかをうまく捉え、情報を提供している。

その結果として、お金を支払っている広告主や出展社に対して質の高い商談を提供しているのである。
レスポンス、と一言で言われるが、成功企業はすでにレスポンスのその先、お客様の売上までを責任持って提供している。
(杉山)