[特集]地図情報データベース活用例から見る、変わりゆく広告代理店の役割

今回、数多くの広告代理店や、ポスティング会社や宅配会社を始めとしたエリアマーケティングを行う企業に対して、地図情報データベースサービスを提供している技研商事インターナショナル株式会社に取材させて頂いた。
一見複雑なソリューションサービスだが、今回の取材ではその利用方法に焦点を当てることで、広告主の要望がどう変化しているか?広告代理店の役割がどこまで変化しているか?について探る。

お話を伺ったのは、技研商事インターナショナル株式会社 DataInsights事業部 太田雅也氏。

属性のはっきりしたターゲットに広告を打つことで、極力無駄を抑えて費用対効果を最大化しようという動きは、ここ数年で加速度的に広がっている。
それだけでなく、ターゲットの絞り込み方もさらに細かく、限りなく個人に対するアプローチに近づいている。
例えば、今回の取材でとりあげる「20代女性」の例。

次に取り上げるのは、同じく地図情報データベースを利用した、流通に対する棚割り提案。
今、流通への棚割り提案までを提供する広告代理店も増えているという。

◆チラシ配布エリアの選び方が変わってきている

“20代女性の多いエリア”へのチラシやDM配布ではなく、
“20代女性、一人暮らしのOLでかつ、アーリーアダプター”にリーチしたい。

「例えば今までであれば、20代の女性が多く住んでいるエリアにチラシを配布したい、といった要望を元に、広告代理店やポスティング会社は広告主に対して配布エリアを提案していましたが、最近ではターゲットの設定の仕方が変わって来ています。」太田氏は言う。

具体的には、“20代女性、一人暮らしのOLでかつ、アーリーアダプター”にリーチしたいという要望が出てくる。

性別や年齢といった基本的な属性であれば、既存の地図情報データベースでも対応ができる。
加えて、一人暮らし世帯の多い地域、OLの多い地域を数値化して、両方の属性を持つ居住者が一番多い地域をピックアップすることもできる。

ところが、ここにアーリーアダプターという統計情報として持っていない項目が加わってくると、エリア選定ができなくなってしまう。

これに対してどう対応したらよいのか。
同社では地図情報データベースに、リサーチによる情報を組み合わせる事で、精度の高いエリア選定を可能にしている。
アンケートを設計し、どの地域に情報に敏感なOLがいるのか、直近での買い物の動向などを地図情報に組み合わせていく。

この結果、はじき出されたエリアに対して、希望配布部数を自動的に割り当てることで費用対効果の高いチラシやDMの配布が可能となる。

◆小売店への棚割提案にも使う広告代理店も増えている

エリアマーケティングと言ってすぐに思い浮かぶのは、上記のチラシやDMなどポストへの配布。
広告代理店によってはもう一歩進めて、より販売に近い、小売店の棚や陳列方法などに対する提案も積極的に行われているという。

広告主の商品を、実際に販売する流通に対して、その商品が間違いなく売れるであろう店舗を分析したデータをつけて提案することで、広告主にとっても、流通にとっても売上があがる提案ができる。

小売店は立地によってその特性が大きく異なる。
同社では、国勢調査を元にした年齢別人口・世帯構成・住居形態・居住年数等の情報のほか、年収・貯蓄階級別データ、商業データ、買物人口・昼間人口などの情報を組み合わせ、店舗の特性を分析、プロファイリングを行う。


店舗のポジショニングマップを作成し、注力店舗を抽出する

また、商圏特性に対しての実績値を用いることで、売上を予測、店舗ポートフォリオまで作成する。


店舗ポートフォリオを活用して、店舗ごとに棚割りの提案を行うこともできる

個別店舗ごとの特性が明確になることで、店舗によって効果的な販促や売り場コンセプトの設定が可能になり、設定をもとにした棚割り提案を行うことで、明確な根拠に加えて、売上の予測までを流通に提案ができる。

今回の取材では、同じ地図情報データベースを使いながらも、チラシやDM配布エリアの選定と、流通への棚割り提案という全く目的の異なるサービスを紹介した。
いずれも、従来は専門の広告代理店が提供するサービスだったが、最近では総合広告代理店もチラシ配布エリアの選定だけでなく、流通への棚割り提案のサポートまでを提案をしているという。
まだまだ一部の流れではあるが、広告に対する効果の一つが売上だったとしたら、広告代理店の役割も、メディアを使って情報を流通させるだけでなく、流通を使って商品を生活者の目の前に届けて買わせるところまで期待されているのかもしれない。

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本件に関するお問い合わせ先
 技研商事インターナショナル株式会社
 DataInsights事業部 マーケティングソリューショングループ
 太田 雅也
 TEL 03-3506-1800
 Email datainsights@giken.co.jp
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