テレビ東京HD、200億円規模の投資を発表
株式会社テレビ東京ホールディングスは、新たに200億円の「成長投資枠」を設定したことを発表した。アニメ・配信をはじめ、「WEB3」など新技術を活用したビジネスや通販・ECなどの事業領域への資金投入により、企業価値の向上を目指すためのもので、2022年度からの3か年の中期経営計画に追加し、2024年度末までに投資を実施する。過去5年間進めてきた収益構造改革によって、放送事業だけに頼らない収益体制が固まりつつあるため、今後は利益を積極的に成長に向けた投資に振り向けていきたい、としている。「配信とアニメ」を成長のエンジンとしつつ、EC・通信販売、イベントなども含めて放送事業との相乗効果を発揮させて収益を伸ばすこの構造改革は、2023年3月期の中間決算で、テレビ東京の放送事業と、配信・アニメ・イベントなどのライツ事業との事業利益の比率が54対46(2019年3月期通期は66対34)となるなど、成果を見せている。
今回の投資の重点分野は、①アニメ、配信の国内外の事業拡大、②「WEB3」「NFT」「VR」「メタバース」など新しい技術の研究開発・活用、③コンテンツ制作力の強化、④電子商取引(EC)事業の拡大、の4分野。同分野で強みを持つスタートアップ企業との接点を増やすためにベンチャーキャピタルへの投資やM&Aも検討しており、この戦略に沿ってすでにシンガポールのNFTプラットフォーム運営会社への出資、テレビ東京ダイレクトによるゴルフ用品EC会社の子会社化、ベトナムの映像配信サービス運営会社への出資などを行っている。
この投資は2022年度~2024年度の3年間合計の営業キャッシュフロー300億円を主な原資と想定し、そのうち200億円を成長投資に充てる。また、中期経営計画では、コンテンツ制作投資を3年間で130億円積み増すほか、人的投資も30億円増額する方針を打ち出しており、今回の200億円規模の成長投資と合わせて、収益拡大に向けた取り組みをいっそう加速させたい、としている。