“加藤公一レオ”の「広告業界的ぶっちゃけ話」

通販王国と言われる九州で、一貫してダイレクトマーケティング型ネット広告に従事し、ネット広告の第一人者と言われる株式会社売れるネット広告社の加藤公一レオ氏の広告業界的“辛口コラム”

加藤公一レオ

第18回:デジタルマーケターは「オフラインの成功体験」に学べ!~オフラインのノウハウをネットに“逆輸入”せよ~

 

こんにちは。売れるネット広告社 代表取締役社長 CEO 加藤公一レオです。

私はかれこれ20年ほどネット広告の仕事をしているが、もともとはADKでチラシや新聞広告、テレビCMなどのオフラインの広告を手がけていた。

その後、長くネットを軸としたダイレクトマーケティングの世界に身を置いて確信しているのは、「オフラインのノウハウはネットに“逆輸入”できる」ということだ。むしろ、ネット広告で大成功するためには、オフラインのダイレクトマーケティングのノウハウをどんどん“逆輸入”するべきである!!

ぶっちゃけ、最近のデジタルマーケターは、テクノロジーを過信しすぎていると思う。テクノロジーはマーケターを単純作業から解放するためのものにすぎないのに、新しいテクノロジーがすべてを解決するかのような錯覚に陥っているのだ。もちろん、便利なテクノロジーはどんどん活用すべきだが、テクノロジーを過信しすぎると、マーケティングの本質から遠ざかってしまう。

いつの時代も、マーケティングの本質は“売る”ことにある。そして、“売る”ためのヒントは、デジタルマーケターたちが「ダサい」と思っている「オフラインの成功体験」にあるのだ。

オフラインから“逆輸入”して大成功した事例とともに、デジタルマーケターが「オフラインの成功体験」から学ぶべき理由をお伝えしたい。

 

■100年以上の歴史があるオフラインに学べ

まずは、私がなぜ「オフラインの成功体験」を重視しているのかをお話しておこう。それは、オフラインのダイレクトマーケティングとネットのダイレクトマーケティングでは、「ノウハウの蓄積」が段違いだからである。

ネット全盛の時代とはいえ、デジタルマーケティングはせいぜいここ10数年の歴史しかないが、「ダイレクトマーケティング」という手法自体は100年以上前から存在する。チラシや新聞広告、ダイレクトメールのはがきや封筒、コールセンターなどのオフラインのダイレクトマーケティングには長年の歴史があり、先人たちの血と汗と涙の結晶とも言える膨大なノウハウが蓄積されているのである。

私が常々言っていることのひとつが、「本物のノウハウには再現性がある」ということだ。10社以上で売上が上がった【A/Bテスト】結果は、100社でも1000社でも同様の結果が出るように、強いものは強い!そして、オフラインで大成功したノウハウは、ネット広告に“逆輸入”してもやはり大成功するのである!!

最近のデジタルマーケターたちは、オフラインを「ダサい」と見下しているかもしれないが、100年以上の歴史があるオフラインのデイレクトマーケティングには、マーケティングの本質である“売る”ためのヒントがたくさん詰まっている。

よほどの天才でない限り、新しいものをゼロから考案するのは難しいし、失敗するリスクも高い。まったく新しいものを考え出そうとするよりも、既存のオフラインのノウハウをベースにして、ネット広告向けにカスタマイズしていったほうが、圧倒的に成功への近道となるのだ!

 

 

■オフラインから“逆輸入”した例① ネット広告の【A/Bテスト】

ここから、実際に私がオフラインから“逆輸入”して大成功したネット広告のノウハウをご紹介していきたい。

その代表格が、【A/Bテスト】である。ダイレクトマーケティングに携わっている人は幾度となく耳にしたことがあると思うが、【A/Bテスト】はネット広告の費用対効果を上げ続けるための最大のポイントだ。【A/Bテスト】とは、簡単に言うと「マイナーチェンジ」(改善)のことである。

私は、日本一ネット広告の【A/Bテスト】をやってきたという自負があるが、そもそも【A/Bテスト】の概念はオフラインからの“逆輸入”だった。

ADK時代、私は当時日本一チラシの【A/Bテスト】(当時は【A/Bテスト】という言葉はなかったので、「スプリットランテスト」と呼んでいた)をやっていた「やずや」の担当となり、その概念に衝撃を受けた。

「やずや」では年間300回以上のチラシの【A/Bテスト】をやっていて、1回のキャンペーンで「キャッチコピー違い」「写真違い」「デザイン違い」など、50枚ほどのチラシを用意し、区ごとに異なるチラシを配布。その後、事前の【A/Bテスト】で最も反応の良かったチラシを本番キャンペーンに投入するということを繰り返し、チラシの「マイナーチェンジ」(改善)を重ねていたのである。

そんな「やずや」のチラシの【A/Bテスト】を見て、私はそれをネットのダイレクトマーケティングに“逆輸入”することを思いついた。ネットのほうがリアルタイムで広告効果が測定できるし、実施のサイクルも短縮できるため、ネットと【A/Bテスト】の相性は最高だと考えたのである。

ネット広告から誘導するランディングページには、キャッチコピー・デザイン・画像・申込ボタンの色などあらゆる要素があるが、それぞれの優劣によりコンバージョン率が驚くほど変わってくる。

ランディングのコンバージョン率を最大化するためには、何よりも【A/Bテスト】が有効である。「キャッチコピーだけを変えた【A/Bテスト】」「デザインだけを変えた【A/Bテスト】」「画像だけを変えた【A/Bテスト】」…を繰り返し、それぞれの【A/Bテスト】で勝利した要素をガッチャンコさせ、 “最適化”していくのだ。

地味な作業に聞こえるかもしれないが、まったく新しいランディングページをイチから作るよりも、すでにあるランディングページをベースに「マイナーチェンジ」(改善)を繰り返していったほうが“100%確実”に広告の費用対効果は上がる!

むしろ、ネット広告では、「フルモデルチェンジ」は絶対にやってはならないご法度だ。都度「フルモデルチェンジ」を行うということは、毎回すべての情報をリセットすることであり、つまりは毎回ノウハウを捨てることになるのである。これではノウハウの蓄積にならないので、10年経っても費用対効果の改善などできず、一発勝負の連続にしかならない。

実際に、『売れるネット広告社』のクライアントにも、「マイナーチェンジ」(改善)を重ねながら10年以上前のランディングページを使い続けている大手単品通販(D2C)会社がある。広告の費用対効果が思うように上がらないと、ついつい「フルモデルチェンジ」をしたくなるかもしれないが、「マイナーチェンジ」(改善)の繰り返しを甘くみてはいけない。

ダイレクトマーケティングの世界においては、【A/Bテスト】の結果がすべて。つまりは、【A/Bテスト】を繰り返して半永久的に「マイナーチェンジ」を続けていくことが最も大事なのである。

 

 

■オフラインから“逆輸入”した例② 『広告専用ランディングページ』
ネット広告のコンバージョン率を最大化するためには、特定の商品を売ることのみに集中した縦長の“攻めのセールスレター型”のページ、つまりは『広告専用ランディングページ』が必須である。

20年前、私はオフラインの紙のチラシから着想を得て、日本で初めて『広告専用ランディングページ』を考案した。ちなみに、当時はまだ「ランディングページ」という言葉はなく、“ウェブチラシサイト”と呼んでいた。この名称からもわかるように、『広告専用ランディングページ』というのは、言ってみればオンライン版の“チラシ”である。

 

ちょっと考えてみてほしい。オフラインの世界でも、“カタログ”の商品ページをそのまま“チラシ”にするアホはいない。商品名があって、商品写真があって、淡々とした商品説明があって…こんな“カタログ”をそのまま“チラシ”にしても売れるわけがないからだ。

それと同じで、ネットの世界でも広告から誘導するサイトは、「お申込みへの誘導」のみを意識した“攻めのセールスレター型の構成”になっている必要があるのだ。

“商品A”でネット広告を打ったら、その誘導先の『広告専用ランディングページ』は、“商品A”しか申込めないページにする。余計な選択肢を与えずに、その商品を売ることのみに集中したページを制作することでコンバージョン率が劇的に上がるのである!これまでの実績では、「本サイト」の商品ページに比べて、『広告専用ランディングページ』は【約1.9~3.2倍】コンバージョン率が上がっている。

 

 

■オフラインから“逆輸入”した例③ 『申込フォーム一体型ランディングページ』

ネット広告から誘導するサイトは、オンライン版の“チラシ”ともいえる『広告専用ランディングページ』にすべきだが、さらに『広告専用ランディングページ』は「申込フォーム一体型」になっていることが重要である。

『申込フォーム一体型ランディングページ』とは、『広告専用ランディングページ』の下部に申込フォームがあり、画面遷移をすることなく直接個人情報が入力できるようになっているランディングぺージのことだ。

ネット通販(D2C)において、長い画面遷移というのはご法度である。遷移が進めば進むほど、バケツの底の穴から水が漏れるようにお客様がどんどん離脱し、コンバージョン率が下がってしまうからだ。

このいわゆる「かご落ち」と呼ばれる現象への解決策が、『申込フォーム一体型ランディングページ』である。これも、勝ち組単品通販(D2C)会社がほぼ100%採用している手法で、やはりオンラインのDMやチラシから“逆輸入”したノウハウである。

新聞の折り込みチラシやDMには、チラシの下部に申込用紙が付いていて、個人情報を記入してポストに投函すれば、商品申込みが完了できるようになっているものが多々ある。

この仕組みをネットに“逆輸入した”『フォーム一体型ランディングページ』により、お客様は他の画面に遷移することなく、『広告専用ランディングページ』上で直接個人情報を入力することができるのである。個人情報の入力が終わったら、あとは「申込確認画面」と「申込完了画面」があるだけ。

『申込フォーム一体型ランディングページ』により、広告を目にしたお客様の購買意欲が高まっているうちにスムーズに申込みが完了できるようになったことで、コンバージョン率は【約1.5倍~2.5倍】アップしている。

 

■オフラインから“逆輸入”した例④ 『確認画面でアップセル』

『売れるネット広告社』の最重要ノウハウであり、特許と商標も取得している『確認画面でアップセル』も、やはりオフラインから“逆輸入”したノウハウだ。『確認画面でアップセル』とは、その名の通り、「申込確認画面」でランディングページ掲載商品よりも上位の商品をオファーする施策である。

これは、オフラインのコールセンターのアップセルトークと同じロジックで、コールセンターのスタッフは、無料モニターや低価格モニターを申込んだお客様に住所、氏名、電話番号を聞き復唱した後、電話を切る直前に「せっかくなら本商品を定期コース(サブスク)で申込みませんか」とおすすめするのである。

ネットに話を戻すと、『確認画面でアップセル』を実行すれば、お客様が個人情報を入力し終わり、あと一歩で申込みが完了する「ここぞ」というタイミングでアップセルをオファーすることにより、お客様の心を上手くくすぐることができるのだ。

 

『確認画面でアップセル』により、「無料モニター」から「本商品」へのアップセル率の場合は最大20%以上、「500円モニター」から「本商品」へのアップセル率の場合は最大40%以上、「商品A」から「商品A+B」へのアップセル率(クロスセル率)の場合は最大60%以上、「都度購入」から「本商品の定期コース(サブスク)」へのアップセル率の場合は、最大80%以上まで伸ばした実績がある。

 

お客様が個人情報を入手した後、つまりお客様にとって面倒な手順が終わった後にアップセルをオファーするとアップセル率が上がるというのは、オフラインでもネットでも共通なのである!

 

 

■オフラインから“逆輸入”した例⑤ 『ワンクリックで申込み』
オフラインから“逆輸入”して大成功したネット広告のノウハウはまだまだある。『ワンクリックで申込み』もそうだ。

『ワンクリックで申込み』とは、お客様ごとに個別のURLを記載したメールを送って、引上専用ランディングページやクロスセル専用ランディングページに誘導する施策のことである。遷移先のページのフォームには、初回申込時のお客様の個人情報があらかじめ入力されているため、お客様はIDやパスワード、個人情報などを入力することなく、実質ワンクリックで申込みが完了できるのだ。

この『ワンクリックで申込み』は、オフラインの返信用ハガキがヒントになっている。名前や住所がすべて記載されていて、郵便ポストに投函するだけで注文ができる仕組みをネットに“逆輸入”したのである。

多くのお客様はIDやパスワードを入力することは面倒だと思っているし、2回目の申込みの段階で、IDやパスワードを忘れてしまっていることも多い。『ワンクリックで申込み』により、ID・パスワードを入力する方式に比べ、コンバージョン率は【約1.5~2.5倍】上がっている。

 

 

■オフラインから“逆輸入”した例⑥ 『フォローメール』

現在のネット通販(D2C)で主流となっている『フォローメール』の仕組みも、やはりオンラインのダイレクトマーケティングのノウハウがもとになっている。

オフラインのダイレクトマーケティングの世界では、お客様ごとに、前回申込んだタイミングに合わせて、商品を使いきるタイミングでダイレクトメールを送るというのが基本中の基本だった。

ところが、初期のネットのダイレクトマーケティングでは、前回申込んだタイミングに関係なく、お客様全員に一斉にメルマガを送信するという雑なことをやっていた。そこで我々はオフラインのダイレクトメールと同じように、前回申込日に合わせて、お客様が商品を使いきるタイミングで配信するフォローメールの仕組みを導入した。

たとえば、7日分のモニターを申込んだお客様には、商品到着6日後ぐらいに「本商品を定期コース(サブスク)で申込みませんか?」という『引上専用フォローメール』を送るのである。

単品通販(D2C)の『フォローメール』は、タイミングがすべて。お客様は、商品がなくなるタイミングでしか引上がらないので、『フォローメール』の配信タイミングをお客様の消費サイクルに合わせると、引上率やLTVが劇的に上がるのである!

 

 

■オフラインのノウハウは宝の山

オフラインからネットに“逆輸入”して大成功した事例を色々と紹介してきたが、今のネット広告のトレンドとなっている施策のほとんどが、オフラインのダイレクトマーケティングにおける成功体験を横展開したものである。

最近のデジタルマーケターはなぜかテクノロジーを過信し、アドテクに走りがちだが、ネットマーケティングは、決して特殊なものではない。ネットであれ、オフラインであれ、マーケティングの本質はここ20年間変わっていないし、今後20年間もそこまで変わらないはずだ。

いくらデジタルの時代になったからといって、人間の本質が変わるわけではないのだから、これからも本質的なインサイトを見抜くことができるマーケターが勝っていくのである!

誤解のないよう言っておくが、私は決してテクノロジー自体を否定しているわけではない。むしろ、便利なテクノロジーはどんどん採り入れていきたいと思っているし、これからのマーケターは最新のテクノロジーを使いこなせないとやっていけない。

あくまでも、問題はテクノロジーを過信し、テクノロジーがすべてを解決するかのように錯覚することである。テクノロジーは所詮手段であって、それ自体が目的ではない。テクノロジーそのものは、マーケティングにおけるソリューションではなく、マーケターを単純作業から解放し、より付加価値の高い知的生産活動に費やす時間を増やすためのものなのである。

つまりは、どんなにテクノロジーが進化しても、人間がお客様や商品をしっかりと見極め、売るための企画を徹底的に「考え/実践/検証」する必要がある!

昔は便利な自動化ツールなんてなかったから、オフラインのダイレクトマーケティングには、先人たちが「考え/実践/検証」してきた結果蓄積されたノウハウが山のようにある。

世の中のデジタルマーケターは、オフラインのダイレクトマーケティングを「ダサい」と見下し、デジタルの知識ばかり勉強するが、むしろ一生懸命勉強すべきは、本質的なソリューションへのヒントが詰まったオフラインのダイレクトマーケティングである。

一流のマーケターになりたければ、デジタルマーケターはチラシやDMの本をガンガン読んで、オフラインのノウハウを勉強しろ!!「100年以上の歴史がある先人たちの貴重なノウハウをいかに“逆輸入”するか」という視点で見てみると、きっと思ってもみなかった新しい発見があるはずだ。

※「確認画面でアップセル」は特許庁商標登録済み商標です。登録商標第5569381号
※「申込フォーム一体型」は特許庁商標登録済み商標です。※登録商標第6041909号
※「引上専用フォローメール」は特許庁商標登録済み商標です。※登録商標第5937599号

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