“加藤公一レオ”の「広告業界的ぶっちゃけ話」
通販王国と言われる九州で、一貫してダイレクトマーケティング型ネット広告に従事し、ネット広告の第一人者と言われる株式会社売れるネット広告社の加藤公一レオ氏の広告業界的“辛口コラム”
第9回:「コネは重要な才能だ」と認識できないバカは、就活戦争には決して勝てない。
日本経済団体連合会によると、来年(2018年卒)も今年(2017年卒)と同様、説明会は3月に解禁、採用面接は6月に解禁する方針を明言した。
(参照リンク)
だが、12月に差し掛かったこの季節においても、インターンシップや就活イベントへの参加、OB訪問、就活塾への入塾など、既に動き始めている学生は多い。実は売れるネット広告社にも、インターンシップの申込みが殺到しており、最近は学生と話す機会も格段に増えた。また学生と企業の就活マッチングイベントでの講演機会も多々あるのだが、学生と話しているとイマイチかみ合わないというか、違和感を抱くことがある。
なので今回は、いつもと趣向を変えて就活事情に物申すと共に、マーケティングの観点から“就活の必勝法”についてお話ししたい。
■就活でコネ入社があるかだって? あるに決まってる!
売れるネット広告社の新卒採用を始めて、早くも5年目に突入しようとしている。おかげさまで毎年、たくさんの学生に志望してもらえているのは嬉しい限りだし、また最近は中途採用も活発に動いていて、多くの華々しい実績を持った人間に中途社員として入社してもらえるのは、自分の会社を認めてもらっているようでとても嬉しい。
私自身、複数の企業を渡り歩いてきたが、新卒で入社した会社は当時も今も就職人気ランキングトップランクにいる三菱商事であることから、就活について話してほしいと言われることが多い。その時には思う存分、自分のノウハウを包み隠さず話している。(私は帰国子女という自分の育ってきた環境をありえないほど戦略的にアピールをした。今でも思うが学生はもっと戦略的なアピールを学んだ方が良い。)
学生にとっては一生で一度、多くの企業を見ることができるチャンスでもある就活。最近は第二新卒など多様化を見せているが、まだまだ、日本ではとりわけ新卒においては就活の意味合いがとても大きい。
学生もそれをわかっているので、みんないろいろな情報を収集しようと躍起になっている姿を見かける。私の時代は就活情報誌や先輩の話をいろいろ聞いたりしたが、今ではネットで調べて臨む人が多い。有名サイトである「みん就」で「▲▲物産に落ちた」、「■■銀行に受かった」、「あの面接官がダメだ」という話に花が咲いているのを見ると、学生にとって時としてマイナスなのではないか? と感じることもあるが、少しでもきっかけが増えることは悪いことではないはずなので、学生のみんなはできる限り情報を集めて、その中から本当に必要な情報を見極めてほしいと思う。
そんな学生たちの就活に関する行動の中でたったひとつだけ、今も昔も存在するある考え方が私は気に食わない。それはコネ入社についてだ。
ここではっきり言おう。コネ入社を気にしている学生は自分が思うような会社に入ることは決してできない。また、コネ入社を批判している人間は経営者になった場合に絶対に失敗をする。コネの本当の意味を知らないからだ。
■マスコミはコネがたしかに多い。それはメリットだらけだから。
コネ入社についていろいろ言われる業界で最初に名前が挙がるのは、恐らくマスコミ業界だろう。ただでさえ悪い印象をもたれている原因の一つは、このコネ入社の人間が多いというところにある。
例えば、元総理大臣の○○の娘さんがお台場あたりにいたり、某大物司会者の息子は二人で赤坂と汐留にいたり……。某サッカー元日本代表監督の娘さんは大手広告代理店に勤めていて、驚くほどお父さんに顔が似ているという話や、世界的映画監督でもある超有名お笑い芸人の息子は大手広告代理店関連会社にいるらしい……などなど。
真相はともかく、火のないところに煙は立たないという類の話であることは確かだ。そして私は断言する。マスコミ、特に広告業界には明確なコネ枠が存在する。ただ、なぜそのコネ入社を批判する風潮にあるのか、私には理解できない。企業にとってコネ採用は当然の行為でしかないからだ。例えば、超大手企業の創業者一族である大学生があなたが入っている会社に所属するということは、その超大手企業とのパイプが生まれる。それは、企業にとってメリット以外になにがあるというのだろうか。「人質」なんて言葉でコネ入社を蔑んだりするような人もいるが、そこまで実力で世界が回っているなんて甘い考え方を持っている時点で世界が見えていないと感じてしまう。世界は意外にコネで回っている。
何かあれば、コネ入社について批判をする人や、コネ入社を悪いなんて考え方になるのはちょっとヒガミが強いのではないかと感じる。もし、私の会社を受けにくる学生で、「自分にはコネがある!」と訴えてくるくらいの学生がいたとしたら、私は評価する。私はコネを批判するどころか、むしろポジティブに捉えているため、内定を出す確率がもしかしたら高くなるかもしれない。コネは語学や、☓☓という資格と同じように、その人物の持っている能力だと考えているからだ。
■君の面白い話をもっと聞きたくて採用するのではない!
企業は就活の採用面接で「学生がどんな風に自分たちのビジネスに貢献できる人間なのか?」というのを見極めようとしている。面白いやつを探していたりする訳ではない。学生が英語を喋れるのであれば、国際展開を考えたときに戦力となる可能性が高いので、採用の選考が有利になるし、プログラミングを学生時代にやっていることがわかれば、情報処理の分野の世界ですぐに使えると考え採用について積極的に動くだろう。
広告で例えると、「サークル活動での強いリーダーシップが企業運営を支える」というコピーと「TOEIC850点の語学力という実績」というバナーを見てクリックをどちらがしたくなるのか? ということだ。私は常々、広告コピーはさらにターゲットにドンピシャに刺さるようなものの方がレスポンス率は高いと訴えてきている。コネ入社というのは、「●●産業創業者とのパイプを持ちたいあなたへ」と書いてあるわけだ。そりゃあクリック率はどこが高いかを考えれば、一目瞭然。コネ入社コピーだ。
コネ入社は企業の悩みを具体化して、解決策を提示しているのだから、採用確率は高くなる。驚く話ではない。コネ入社は冷静に考えればメリットが非常に多いことに気付くはずだ。しかも、広告では女性の顔を出している方がクリックされやすいという実績がある。その昔、どこかのネット広告代理店の内定女子が読者モデルと見間違えるばかりのメンツだったという話があったが、それもうまく企業側がクリックをさせたというだけであり、なんらそれは批判できるものではないと思う。
■コネはある種の才能! コネとは「人脈」と同義である!
こんなことを言うと、「コネがない人とある人での不平等が発生する!」とか叫び出す面倒くさい人が結構いる。私はそんな人を見て思うのだが、その主張は人間の才能というものを完全に否定しているという自覚があるのだろうか?
例えば、男子100メートル走でウサイン・ボルトが出場するのは卑怯だ! と言うのだろうか? 彼は並々ならない努力を行っている。だが、彼がやった努力をすれば全員が100メートルを9秒台で走れるというわけではない。また、同じように165kmを投げる大谷翔平をズルい! と言う人がどれぐらいいるだろうか? 例に出した二人の努力は圧倒的な才能があるからこそ、結果に結びついていることは忘れないでもらいたい。人間はどんなに平等だと言っても、才能は平等にあるわけではない。悲しいことだがこれは事実だ。
言い方を変えれば納得すると思う。コネとは「人脈」だ。コネという言い方をすると非常にネガティブなイメージを持たれてしまうが、「人脈」と言えば、だいぶ見え方は変わってくる。「人脈」のある人とない人の差は日頃の「人脈」を作ろうとする努力もあるが、それよりも前に多くの人とやりとりができるコミュニケーション能力がなければ、「人脈」を作り上げることはできない。努力というより持って生まれたものが決定する部分が大きい。
そして、築き上げられた「人脈」は仕事をする上においてとても大切なものとなる。その「人脈」を学生時代に多くの人が「おお!」と感じることができるようなネットワークを構築することができれば就活で有利に働いたとしても全く問題ないと誰もが感じるだろう。「人脈」とコネは変わらない。今まで取引のなかった大企業やクライアントのキーマンとの「人脈」を持っている人がいれば誰もがそれを活用しようとする。それがコネの絶大な効果であり、多くの企業が重視するポイントだ。
何度も経験したことだが、なんだかんだいって、仕事のある程度は「人脈」が決定させる部分がある。そんな企業がどうしてもほしい「人脈」を就活学生が持っていたとしたら採用しないわけがないのだ。そこは正々堂々という話ではなく、学生側が戦略的にアピールすることが大切である。
私が最初に仕事をした商社にだってコネ入社はあった。地方の老舗の子供や孫はおかしいほどたくさんいた。統計的に考えたら異常と思える数いるのだから、その時点で何か別の力が働いたのだと私はすぐに感じた。そして、次の業界として飛び込んだ広告代理店にだって、なぜか大企業創業者の子供や孫は驚くほど多い。本当にコネであるかどうかはわからないが、それがあるからこそ舞い込む仕事というのは絶対にある。
高らかに「ウチはコネ入社がありません!」と宣言するような会社が時々存在する。いろいろな情報に悩まされている就活学生たちはそんな言葉に感動して、拍手喝采をしたりなんてこともある。ただ、それは私からみれば悦に入る経営者の自己満足にしか見えない。
■君に使えるコネはあるか? なければ自ら“作り出せ”!
さて、コネの重要性について述べてきた訳だが、読者の中には記事のタイトルに惹かれてここまで読み進めてきた就活生がいるかもしれない。そして、自分にはコネがない! と焦っている方がいるかもしれない。そんな君に伝えたいことがある。ズバリ“コネは今からでも作れる”ということだ。
私は西南学院大学という福岡の私立大学出身だが、ぶっちゃけ西南学院大学から三菱商事に内定を取れる学生なんて、見渡す限り誰もいなかった。帰国子女でバイリンガルの私は、ポテンシャルでは誰にも負ける気はしていなかったが、それでも東京の学生と比べて圧倒的に不利であることは間違いなかった。
東京の学生との不利な点を具体的に言うと、第一に距離の問題がある。一つの面接に向かうのに航空チケットの手配や宿の予約など、物理的距離・金銭的負担によるハードルが高い。これだけでもだいぶ不利な状況であることはすぐにわかるだろう。
第二に東京の学生と地方の学生の圧倒的情報格差がある。東京の学生は東大・一橋を始め、早稲田・慶應・MARCHといった有名大学にさえ入学できていれば、情報は上から下に自動的に落ちてくると同時に、同じ大学の先輩が大手企業にいる確率も高い。能動的に情報を取りに行く姿勢がなかったとしても、勝手に情報が入ってくるのだ。日本の主要企業の圧倒的多数が東京に密集している以上、東京の学生と地方の学生には雲泥の差のハンデがあるのである。(今でも思うが、東京の学生と地方の学生の就活に対する意識・行動力には悲しいことに大きな隔たりがある。)
では、地方の学生である私はどうしたか。ズバリ、“100人以上”OB訪問を行った。これはどういうことかというと、私の母校である西南学院大学の卒業生で、大手企業に行っている先輩全てに訪問するぐらいの気概を持って、日々OBの元へ足を運んだのである。
するとどうなるか。福岡という地方から東京に足繁く通う後輩である私を、OBはとても可愛がってくれるし、いろんな人を紹介してくれる。自分が行きたい企業ではなかったとしても、あらゆるツテを使ってくれて、本命の企業の社員と会うことができるのだ。また、もう一つのメリットとしては、社会人と話すことに慣れていく。志望動機や自己分析に徹底的にダメ出しをしてもらい、話し方や伝え方の部分においても常に最適化されていく。事実私は企業の面接ラッシュが始まる前に100人の“大人”と話し慣れすぎていたお陰で、面接は全く緊張しなかったし、周りの東京のエリート学生よりも数段饒舌に自己PRができた。もっと言うと、あらゆる企業のOBと事前に会っているので、面接官は既に“加藤公一レオ”という学生を事前情報として知っているというパターンもある。これは立派なコネであり、OB訪問を繰り返して培った「人脈」なのだ。
つまり、何が言いたいのかというと、現時点でコネが全くゼロだったとしても、行動次第でいくらでもコネは“作り出せる”。コネは才能である部分も大きいが、だとしてもたった今から行動を起こせば、それはカバーできるスキルであって、その方法がOB訪問なのである。
■自分自身を見つめ直す。意外にそこからコネが見つかるかもしれない。
コネが問題視されている大きな要因として、裏側でコソコソとやってベールに包まれているというイメージが浸透していることもあるだろう。ただ、繰り返しになるが、もっと自分のコネをはっきりと自覚をして言葉にして、面接で言うぐらいにすべきなのだ。マスコミで体育会系採用がまかり通っているのは、代々体育会系の人間は得てして「人脈」を作り上げるのを得意とするタイプが多いからであって、君にコネがないというのは君の生まれに問題があるというわけではない。学生時代、生きてきた時間の間にどれだけ様々な経験をして人と関わりを持ってきたか? ということなのだ。そして、コネが全くなかったとしても、いかにそれを築き上げてきたかどうかということなのだ。ぶっちゃけ、コネのある人間やコネ制度を批判するというのは結局のところ“人脈を何も作り出せてこなかった”ということでもあるし、何より“人脈築きのために何も行動してこなかった”ということであり、何の魅力もない学生に見えてしまう。いくらでも“コネ”は作り出せるのに……。
学生はよく、自己分析というのをやるがその中に「コネ分析」というのを入れてみてはどうだろうか? 自分が持っているコネは一体何があるのか、冷静に認めたくない部分もあるかもしれないが、ちゃんと考えるべきだ。そして「人脈」を俯瞰的に見て何かしらの特徴があれば、それをちゃんと理解すべきなのだ。よく、コネじゃなく実力でという言葉を使う学生がいるが、コネは企業が考えている「個人が持つ大きな実力」であることをそろそろ多くの人は認めるべきだ。これは学生だけでなく採用する企業側も同様で、学生がこれまで築き上げてきたコネをもっとポジティブに評価すべきである。
企業は君の力が何に使えるのかを見ている。別に学生のしたいことをアシストするお人好しではない。部活を頑張ったことや世界一周したことや、ホームステイしたことが一体、何に使えるのか? 抽象的ではなく、具体的に提示できるのか? もっと言うと、君がうちの会社にいくらの利益をもたらしてくれるのかが知りたいのである。つまり会社への利益に繋げられるスキルというのは、コネであり、「人脈」なのである。
あなたがこれまで何をしてきたのかではなく、何ができるのか? を企業は知りたい。売れるネット広告社だって同じだ。就活の必勝法とはズバリ、コネを最大限に活かすこと。コネを築き上げて企業にアピールし、他の学生との差別化を図ることに尽きる。そのための努力こそ、やりたい仕事をするために今君がすべき最初の一歩である。
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