ダイレクトマーケティング課題の救急治療室

通信販売を始めとした、ダイレクトマーケティングの課題解決には、改善のため早急に適切なサポートを必要とします。その現場は、救急救命室さながらです。このコラムでは、今の通販業界の実情や、手遅れにならないためのアドバイスなど、読みながら学べるコンテンツをお届けします。

永瀬晃大朗

第3回:ストアとユーザーを深く理解し、集客と収益の最大化へ

先日、弊社では『いま注目すべき4つの次世代アプリプロモーション手法』と題してアプリプロモーションに関してセミナーを開催致しました。外部の企業様もお呼びし事例を踏まえながらお話しさせていただき、私自身も非常に勉強になる会でした。

そのセミナーにご参加いただいたみなさまからの声で多かったのが次のような課題やご要望です。

『コストを抑えてユーザーを獲得したい』
『効率的にユーザーを獲得するノウハウが知りたい』
『アプリの設計段階でマーケティングの視点が足りない』

これらの課題は何もアプリに限った話ではないと思いますが、収益化が難しいアプリの場合は課題感がより強いのでしょう。
今回は効率的なユーザーの獲得手法についてお話しできればと思います。

先に挙げさせていただいたようにディベロッパーの課題は『集客の最大化』と『収益の最大化』の2つになるかと思います。

そして、この2つの課題に対しての打ち手も異なってきます。例えば前回ご紹介させていただいたようなASO施策(URL)は前者にあたりますし、何かしらアプリ内でイベントを実施するなどして既存ユーザーをよりLTVの高いユーザーに変えるための施策が後者にあたります。

集客の最大化に関しては、広告出稿はもちろんストアでのクリエイティブ検証など様々ですが、それぞれの施策が相互に影響するようにプロモーションを設計するのが好ましいです。
例えばランキング対策とASO対策は全く別ものとお考えになるかもしれませんが、ランキング対策としてリワードを実施する際に、ASO対策にも好影響するように出稿する。
逆にASO対策を行う際にはランキングをはじめとしたストア内でユーザーの目に止まった際にDLされるように最適化するといったイメージです。

具体的に説明しましょう。
ASOですと、検索順位のロジックは下記のような傾向があると弊社では考えております。

まずはタイトルなどのテキスト要素でそのアプリがどのようなアプリであるか定義する必要があり、そのうえでアプリの評価を高める(キーワードとの相関性、DL数、評価など)施策を行う必要があります。
一点補足させていただくとCFBundleDisplayNameという名前はみなさん聞き覚えがないかもしれません。こちらの値は端末上でアイコンの下に表示される名称になっており、こちらもストアの検索結果に影響することが確認できております。
(下記が弊社で実験を行った際の内容になります。)

CFBundleDisplayNameを上手く活用すると、端末に表示されない部分でキーワード対策を行うことが可能になります。(ただしこちらはやり過ぎはスパムの危険性があるため注意が必要です。)
こちらはみなさまでも簡単にできる施策になりますので是非お試しください。

話を戻させていただくと、検索結果に影響する指標と、順位をあげるのに影響する指標の2つがございます。そのため注力するキーワードの優先順位づけを行い、タイトルなどでチュー二ングを行った後、リワードを出稿するなどランキングと検索どちらにも効果が最大限活かせるように実施するといいでしょう。
このように一定のコストをかけて広告出稿する場合はストアのロジックをランキングだけでなく検索結果への影響も加味し、施策を展開するのが好ましいです。

では、獲得したユーザーをよりアクティブにするにはどうすればよいか。
このフェーズになると広告施策よりもディベロッパーの地道な努力が必要になります。
現在アプリの市場でもっとも大きな成功を手にしているジャンルがゲームになるかと思いますが、ゲーム系アプリは集客、収益化、この2つのフェーズでの施策がよくできているなと感心してしまうことが多いです。

例えば、ユーザーの招待機能。よくゲームアプリのレビュー欄に英数字などのIDが記載されているかと思います。これは新規ユーザーがアプリを始める際に打ち込むと、招待した人とされた人双方に特別なアイテムがもらえるというような内容になっています。このアイテムを入手するために既存ユーザーはレビュー投稿にて自分の招待IDを記載している訳です。
既存ユーザーのロイヤリティを高める、新規ユーザーが参入しやすくする、レビューでストア上の対策もできる、と一石三鳥の施策になっているのです。

そのほかにもゲーム系のアプリで遊んでいると集客、収益を最大化するための上手い仕組みが多いのに気付かされます。ではなぜそれほど効果的な施策ができているのかというと、
私はユーザーのモチベーションがなんであるかを深く理解している点につきると思います。
ゲームであれば達成感、アイテムそのものが魅力的で入手したいという欲求、他ユーザーからの承認欲求など、そのモチベーションを喚起するのが非常に巧みなのです。ただ単に招待機能を真似るようなかたちではなく、自社アプリのユーザーのモチベーションがなんであるのかを改めて把握し、そのモチベーションを喚起するような仕掛けをアプリ内に設けてみてはいかがでしょうか。

この過程ではディベロッパー側で解析ツールなどを用いてユーザーのアプリ内での行動を解析していくことはもちろんですが、検索流入してくるユーザーのモチベーションをしっかりと把握し施策に落としこむことも重要かと思います。
下記は弊社のポイントアプリでの実績ですが、検索流入のワードを解析することで『お小遣い』からの流入が多いことに気づき、対策ワードも『お小遣い』に注力した結果、全体のDL数を底上げすることができました。

このようなにユーザーのモチベーションが見える検索ワードの解析は有効に働くといえるでしょう。

改めてまとめますと、集客、収益の最大化にはストアの理解とアプリのユーザーを深く理解することが必須であると思われます。

弊社ではASOはもちろんですがランキングなどストアのロジック解析を進めておりますので今後も有益な情報と活用方法をご共有させていただきます。

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