ストーリーで口説く統合コンテンツ論
IMC(統合型マーケティング)プランニングを専門的に実践するインテグレートにて、デジタルメディア・コンテンツの企画立案、編集、運営を行うメディアソリューション部が、デジタル時代の「コンテンツ」について語るコラム。情報が一方通行でなくなった今、魅力ある「コンテンツ」とはどういうものか、分析、探究していく。
第5回:読者の「共感」でコンテンツ力を拡大する
第5回目の今回は、「読者参加型コンテンツ」がなぜ着目されているのか、そのワケをご紹介します。
読者参加型コンテンツというと、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを思い浮かべる方が多いと思います。Facebookに代表されるような、実名性の高いソーシャルメディアが台頭し、リアルとウェブの人格の統合化が進んでいます。また、オープンIDの普及も手伝い、複数のメディアにまたがって、ユーザーたちは自ずと同じ人格で活動をすることを求められるようになり、ソーシャルメディアは安全で公共性の高いメディアとして認識されつつあります。
このように、実名による信頼性が担保されてきたソーシャルメディアを利用し、各メディアがコンテンツをタイムライン上に自由に拡散できるソーシャルプラグイン※の機能を実装するようになってきています。
みなさんも、FacebookやTwitter上で、プライベートな情報発信はもちろんのこと、メディアから発信されたコンテンツをシェアしながら、自分なりの見解を披露することもあるのではないでしょうか。
■媒体で選ぶのではなく、記事単位でキュレーションする時代に
各メディアに設置されたソーシャルボタンやソーシャルプラグイン、Facebookページなどの普及により、Facebookのタイムラインは自分の趣味・趣向に特化した形に記事単位でカスタマイズされるようになりました。つまり、一般的な情報をポータルサイトや、マスメディアから直接受け取るのではなく、FacebookやTwittterなど、ソーシャルメディアのタイムライン上で受け取るというスタイルが定着しつつあります。自分の信頼できる友人や有識者で固められたタイムラインをウォッチする方が、効率的な情報収集手段ともいえるわけです。
さらに、自分のタイムラインに流れてくるニュース記事のソース(配信元)を意識しているユーザーはどれほどいるでしょうか?自分の信頼できる友人がシェアした情報であれば、それは信頼できる情報であり、メディアの持つブランド価値を超えて、大きなお墨つきとなります。つまり、ブランド知名度の低いメディアでも、一つ一つの記事単位のコンテンツのクオリティを高めて、読者の「共感」を得ることで、ソーシャルメディアを経て大きなPVを稼ぐ可能性を秘めているということです。
■単なる読者参加型メディアからユーザー主体のメディアへ
米国で生まれ、今や米国内ではマスメディアを凌駕するほどの影響力を持ち、これまで6カ国で展開されてきたソーシャルニュースサイト「ハフィントンポスト」の日本語版が5月にサービスインしました。これをきっかけに和製ソーシャルニュースサイトとして存在してきたBLOGOSなどのサイトにも改めて注目が集まり、その周りを取り巻く、自分の好みの記事を集積してくれるキュレーションサイトなども活発化してきています。
このソーシャルニュースサイトという形は何が新しいのでしょうか。1つは、各分野に精通した研究者や話題のトピックスに詳しい人々の声が、マスメディアという従来のフィルターを介すことなく、直接読者に届けられるという点。
もう一点は、これまではマスメディアから与えられた一次情報について、ソーシャル上で議論を交わすだけだった読者たちを、一次情報の発信者として取りこんでいる点です。これによって、読者たちの参加意識はさらに高まり、メディアへのエンゲージメントを創出しているといえます。
■ユーザー主導のコンテンツづくりが波及力アップのカギ
発信力、影響力のある“読者”がコンテンツメーカーであるということは、彼ら自身のソーシャルメディア上でも記事を拡散し、フォロワーたちがその記事を拡散していくということでもあります。つまり一方的な情報発信や、一般読者同士の横の拡散よりも加速度的に情報が伝播していく可能性が高いといえるわけです。
インテグレートではこの動きに着目し、今後国内のソーシャルニュースの動向と影響力の変化に注目していく予定です。また、そのコンテンツの価値をコンバージョンで計測する仕組み、「アトリビューション」についても、研究を進めています。
最終回となる次回は、インテグレートが提供する「アトリビューション分析」のスキームについて、ご紹介します。
※ユーザーが手軽にメディアのコンテンツを自身のソーシャルメディア上で紹介できるようにした仕組みのこと。主にコンテンツの冒頭や末尾にFacebookやTwitterのアイコンを置き、そのボタンを押下すると、Facebook上でのアクションを起こすことができるものなど。