数字は語る!マーケティングリサーチャーが読み解く最新消費者トレンド
インターネットリサーチ国内No.1の実績を誇り、日本のマーケティングリサーチ業界を牽引し続けているマクロミル。
リサーチャーの在籍数も国内随一の同社で、すべてのリサーチャーを統括している芦沢広直氏が、豊富な経験とオリジナリティ溢れる独自の視点で、リサーチデータから消費者トレンドや変化の捉え方を紹介する!
第2回:テレビとツイッターの新しい関係
今年の年末年始は暦の関係で長めの休みをとる人が多く、自宅でゆっくりとお茶の間のテレビを楽しんでいた人も多かったのではないだろうか。
私自身も自宅でサッカー天皇杯や箱根駅伝などの正月スポーツを観戦していたが、録画したものではないリアルタイムの放送をCMも含めてこんなに長時間、じっくり見たのは久しぶりだったように思える。
今年からはお茶の間に新しいタブレット端末が加わり、テレビ番組を見ながら同時にツイッターの書込みを手元で追いかけながらの観戦をしてみた。
タブレットの画面からは放映されていない選手の情報や、同じように番組を見ている視聴者の感想などがタイムラインで飛び交い、これらを眺めながらテレビをみるといろいろな発見や納得が得られて
今までにないテレビの新しい楽しみ方を実感することができた。今回はソーシャルメディア、特にツイッターとテレビの関係についてあらためて考えてみたい。
(なお、今回紹介するデータの元となる調査は関東1都6県在住の15歳~69歳のツイッターアカウント保有者を対象に、2012年11月に実施している。)
■若年層ほど高いツイッター閲覧時間
<図1>最近1週間のツイッター閲覧平均時間 (平日/休日)
対象:現在ツイッターアカウント保有かつ最近1週間以内利用者
ツイッターの1日あたりの閲覧時間の平均をみると、平日38.3分、休日が39.1分となっている。また男性よりも女性、若年層ほど閲覧時間が長い。
若年層についてはテレビや新聞・雑誌のリーチが届きにくくなったといわれているが、ツイッター利用層に限れば1日あたり1時間弱の時間が占有されていることになる。
ツイッターは平日、休日とも21時台をピークとした夜間によく利用されており、テレビのプライムタイムとぶつかっている。
ただし「最近1週間にテレビ放送を見ながらツイッターを利用したことがあるか」については46.5%があると回答しており、テレビの合間に、またはテレビを見ながらといった併用状態が多いものと思われる。
■テレビとツイッターの併用の面白さ
<図2>最近1週間に見た番組・同時にtwitterを閲覧/書込み (クリックすると拡大)
対象:最近1週間にテレビを見た かつツイッター利用者 (%)
実際にどのような番組を見ている時にツイッターを併用しているかをみると、「バラエティ・クイズ番組」がもっともよく閲覧・書込みされている。
また番組視聴者を母数に閲覧・書込みをした人の比率を見ると、「スポーツ中継」や「アニメ・子供番組」などは25%前後の人が併用していることになり、ツイッターを利用しながらテレビを見るスタイルが一番進行していると見ることができる。
一方、「ニュース」におけるツイッター閲覧率が思いのほか低いことを考えると、ツイッター併用は情報や話題の掘り下げの側面よりも、テレビに現在放映されている
事実やストーリー展開などに対する視聴者同士のリアルタイムの直感の共有、また放送には乗らない意外な視点に出会えるところに面白さがありそうだ。
■ツイッターの話題が番組選択にも影響?
<図3>テレビ番組を選ぶ際の参考情報(クリックすると拡大)
対象:最近1週間にテレビを見た かつツイッター利用者 (%)
ツイッターの併用によって新しいテレビの楽しみ方が増える他にも、ツイッターはテレビの番組選びにも影響を与えているようだ。
地デジ対応のテレビが普及して以来、テレビ番組の選択にはEPG(電子番組ガイド)が最もよく活用されてきた。
これに加え、テレビ放送の番組宣伝や新聞のテレビ欄などを参考に見たい番組を見つけて視聴していたが、このように前もって見たい番組の見当をつけてチャンネルを選ぶ計画的な視聴行動は高い年代ほど顕著だ。
一方、10代・20代はテレビに向かっていろいろなチャンネルをまわしながらその時々で興味のある番組を選ぶ特徴がみられる。
この層ではテレビ番組選択においてツイッターの書き込みを参考にしている比率も高く、「今放送している面白そうな番組」をツイッター書き込みの放送中の評判や盛り上がりによってチャンネルスイッチをしているケースもありそうだ。
昨年末の衆議院総選挙の投票日の夜は各局でさまざまな趣向の開票速報番組が放映されていたが、ツイッター上の話題では特定の局の話題で大きく盛り上がっていた。
その番組は視聴率も大健闘だったと聞いたが、ツイッターでの盛り上がりきっかけとなって視聴者がチャンネルをあわせたケースも実際は相当あったのではないかと思われる。
ツイッターは現在起きていることに対する他者の評価や直感に同期できる機能を持っており、テレビなど放送メディアと親和性が高い。
実際いろいろな楽しみ方があり、それにふさわしいアプリケーションも次々に出てきているようだ。
特にスマートフォンより大きな画面のタブレット端末が家庭のリビングに浸透して、アクセスのハードルが低くなればその楽しみ方のバリエーションはさらに広がる可能性を秘めている。
テレビファンとしてもこれらの新しい動きには今後も注目していきたい。