ダイレクトマーケティング課題の救急治療室
通信販売を始めとした、ダイレクトマーケティングの課題解決には、改善のため早急に適切なサポートを必要とします。その現場は、救急救命室さながらです。このコラムでは、今の通販業界の実情や、手遅れにならないためのアドバイスなど、読みながら学べるコンテンツをお届けします。
ランディングページを改善するならここを見ろ!3つのポイント
これまで、私のコラムの中で過去3回にわたり「広告を勝手にブラッシュアップ企画」と称して、広告改善のポイントについて解説をしてきました。
⇒ [広告改善企画]気になるあの広告を勝手にブラッシュアップ
⇒ [広告改善企画]気になるあの広告を勝手にブラッシュアップ 第二弾
⇒ [広告改善企画]気になるあの広告を勝手にブラッシュアップ 第三弾
その中で、「デジタル広告のランディングページ(LP)はどのように改善したら良いのか?」というご質問や、「LPの事例が欲しい」というお問い合わせをいただきました。
これを受けて、現在LPのブラッシュアップ企画を考えていますが、L Pは縦長の形状からサンプルページを制作したりわかりやすく説明するのが多少難しいため、今回は序章としてLP改善において見るためのポイントを解説したいと思います。
LPの分析に必要なのは3つのポイントだけ!
LPの分析を行いたい企業には、まずはヒートマップの導入をおすすめします。
ヒートマップを導入することで、分析すべきポイントのチェック精度が向上するためです。
そのため、今回はヒートマップを導入済みであることを前提に説明いたしますので、ご了承ください。
LPは縦に長いため、目の動線を意識した誘導やアテンションが必要なチラシ広告とは異なり、上から順に情報が流れる構成なので、LPの分析で注目すべき点は比較的シンプルです。
POINT1:ファーストビューからの2スクロール
POINT2:はじめて価格が出たオファー直後
POINT3:ページの最後まで
初期段階で見ていただきたいポイントはこの3つです。
近年ではチャットボットが起動する場合もありますが、今回はそこを考慮していません。
POINT1 ファーストビューからの2スクロール
クッションページやLPに来るまでの広告の内容にもよりますが、この段階での理想的な離脱率は10%程度、残存率は85〜90%が目標です。
できれば90%以上を維持できるのが理想といえます。
この85%という数字は、バナー広告から直接LPに来る場合など、離脱しやすい条件であるときの目安なので、基本的には90%程度のユーザーが残るべきと考えられます。
少なくとも、前の広告からマッチして興味を持ったからLPに訪れているのに、1スクロールもされない場合は、ファーストビューに大きな問題があるか、システム上にトラブルが発生している可能性があります。
そのため、ファーストビューが正しく機能しているかを確認するためにも、「2スクロール目で90%以上が残っている」が重要なチェックポイントになります。
ファーストビューにはユーザーの悩みや商品の特徴、情報が端的に含まれているため、ここで離脱が多い場合は危険な欠陥があると考えられます。
10%程度の離脱率が許容範囲とされるのはこのためです。
この段階での離脱には、以下が考えられます。
クッションページとの訴えのズレ
LPの内容が一致せず「思っていた商品と違う」と感じて離脱するケース
意図していない誘導
クッションページが煽り要素が強かったり誤クリックを誘発するような手法を用いているなど、意図せずLPに飛ばされたことにより離脱するケース。
この1と2の場合は、前の広告内容とLPの情報の連結に問題がある可能性が考えられます。
システム上の問題
ファーストビューの表示が動画などで遅いため、ユーザーが離脱するケースです。
上記の1〜3のどれに離脱理由があるかということをしっかりと判断していくことが重要になります。
特に1、2と3の区別をすることが重要ですね。
そのためには、ヒートマップだけの分析ではなく、実際にスマホなどでLPにアクセスして、違和感などを確認することが重要となります。
クッションページなど、LPにつながる広告を変更したときの分析においては、原因を丁寧にチェックすることが大切です。
加えて、3つ目のシステム上の問題についてですが、屋内で広告を確認するときには、ブラウザやWi-Fiのある環境でチェックでチェックを行って、「遅くはない」という結論を導いてしまうことがあります。しかし、消費者は屋外など5Gの接続環境で閲覧することも多く、表示が遅くなる場合があります。
そのため、できれば実機で表示確認を行う際には、Wi-Fiなどのネット接続を切った状態で試していただけると、実際の閲覧速度がわかりやすいと思います。
POINT2 価格が出たオファー直後
この部分のポイントは、オファーを提案した直後の離脱率を確認することです。
ファーストオファーの位置によっても残存率は異なるため、一概に何%が残っているべきと言う指標があるわけではありません。
実際に、ファーストビュー直下にオファーを配置した場合と、1~2つのコンテンツを挟んでからオファーを出す場合でも差が出てきます。
そのため、オファーの価格を見せた後に残存率がガクンと落ちていないかをチェックしてください。
具体的には、価格表示後の離脱率が10%以上になると、価格が期待値に合っていない可能性があります。
オファーの価格提示後にある程度落ちるのは自然な挙動で、まったく落ちないのも改善の余地があると言えます。
価格を見せて大きく下がったケースにおける改善点としては、商品の理解が追いついていないという仮説を取ることが多いです。
そのため、オファー前に説得コンテンツを若いりゃすく挿入するといった対策が基本となります。
価格提示後に離脱がまったくない場合は、その逆で、もっと上の部分にオファーを持っていくようにします。
その次が価格の見せ方です。
唐突に見せることで高く見えているのであれば、なぜ高いのか?という理由のコンテンツを前に挟むだけでも緩和されます。
価格自体を変えられない場合は、割引率を大きく表示するなど見せ方を工夫することも有効的です。
POINT3 最後のページまで
ページの最下部まで閲覧している人の理想的な割合についてですが、私の感覚では15〜20%が理想と考えられます。
ただし、この割合は企業や業界により多少の違いがあると思われます。
最後まで閲覧している人が少なく、途中で離脱が多いということは、「最後まで見たい」と思わせる魅力が不足しているということで、あまり良い兆候とは言えません。
しかし、逆に最後まで閲覧している人が多すぎるのも問題です。
良い商品であれば、途中のオファーで一定の割合がコンバージョンに至るため、多くの人が最後まで見ている状況は購入を迷っている状態でもあるからです。
そのため、最後まで閲覧している割合が15〜20%程度にコントロールできるように情報設計することが理想的だと考えています。
実は、この点が見落とされがちで、「最後まで読まれていない」と悩む企業も多い一方で、「最後まで読まれているのにコンバージョンしない」と悩む企業も多いのです。
丁寧に最後まで見ていただけることは良いことですが、逆を言えば「最後まで購入(アクション)する気持ちにならなかった」ということでもあるのからです。
その割合が多いと、次へ進もうという気持ちにさせるコンテンツが少ない証拠になってしまいます。
この部分の改善は最も難しいポイントです。
最後まで読んでもらえないのは、各コンテンツ後半部分が弱いからであり、強化が必要です。
ファーストオファーから最後まで閲覧している場合は、商品情報が弱いためスペック自体の見直しが求められることもあります。
今回、見直しについては省きますが、この場合はコンテンツの一つ一つが弱いため、落ちているポイントを確認して致命的に弱い部分を見つけて、どこを改善すべきかを整理すると良いでしょう。
また、最後まで見過ぎているケースは、悩みや商品に興味はあっても「決め手」が不足している可能性があります。
よくあるのは、体験談のようなユーザーの顔が見えるコンテンツが少ない場合です。
「こんな方が買っているんだ」「これは私に合う商品なんだ」と感じてもらうための最後の一押しが不足していると、このような傾向になるようです。
まとめ
今回ご説明した3つのポイントを改めて振り返ります。
POINT1:2スクロールまでの大事な3つのポイント
POINT2:ファーストオファーに関する2つの分岐
POINT3:最後まで読まれている場合のコンテンツ不足
本格的な改善にはヒートマップの解析が必要ですが、高精度で読み解くスキルには慣れが必要です。
そのため、まずは3つのポイントに絞って、シンプルに理解することから始めてください。そうすることにより、どこで何を悩んでいるのか明確になってくると思います。
今回はLP改善についてのポイントを簡単に解説させていただきました。
表示していますパーセンテージに関しては、前にある広告で変わることから企業ごとにアレンジする必要があるため、参考基準と思っていただければ幸いです。
今回もありがとうございました。
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