ダイレクトマーケティング課題の救急治療室
通信販売を始めとした、ダイレクトマーケティングの課題解決には、改善のため早急に適切なサポートを必要とします。その現場は、救急救命室さながらです。このコラムでは、今の通販業界の実情や、手遅れにならないためのアドバイスなど、読みながら学べるコンテンツをお届けします。
購入決定を後押しする”信頼マーケティング”を徹底解説
近年話題のNo. 1マーケティングとは?
数年前から「No.1マーケティング」という言葉を目にするようになってきました。
これは企業のNo.1戦略をマーケティング活動にも応用しようということで生まれた造語とされています。
そもそも、No.1戦略を含むNo.1というコンテンツがなぜ必要とされてきたのかを簡単に説明すると、企業活動において1位の商品・サービスには信頼が生まれ、多くのメリットがあるからです。
一例として、業界シェア1位という企業では、求人においても新卒者・中途採用の応募が多くなる傾向にあり、多く流通するため価格も安くすることができる場合があります。
そして、多くの情報が集まってくるため、ヒト・モノ・情報が集まりさらに1位のポジションが強固なものとなります。それは一般消費財の売れ行きも同様で、1位という冠があると販売に大きく寄与するのです。
一方、この表示については、コンテンツの利用方法以外にも、その取得方法において課題も多く、結果として良くも悪くも注目されています。
今回はこのような背景ではなく、根本的な「No.1」に限らない信頼のためのコンテンツ全般にわたり購買心理における理由や、その他にどのようなコンテンツがあるのかについても解説していきたいと思います。
No.1などの信頼コンテンツが消費者行動に及ぼす理由
まず初めに、なぜ近年No.1がマーケティングで使われるようになったのかを消費者心理の観点からご説明します。
一つは「ハロー効果」。これは“後光の効果”とも言われているように、物事の評価が一部の優れた特徴に影響されてしまう心理効果のことです。
後ほど整理しますが、マーケティング施策に用いられるハロー効果の一例としては、受賞実績やロングセラーなどの数値実績、SNSや星の数などの口コミ実績が分かりやすいでしょう。
もう一つは、購買心理の中で、これしかないと決断させるためのコンテンツとしても有用です。
ダイレクトマーケティングの説得のフローにはPASONA(パソナ)と呼ばれる流れがあります。消費者心理について学ばれている方にはAIDMA(アイドマ)、もしくは、AIDCA(アイドカ)などのほうが馴染みがあるかもしれません。
これらの大きな違いは、作り手側の視点か、消費者側からの視点かです。
その中でも、パソナの「N:Narrow down(絞り込み)」、アイドカの「C:Conviction(確信)」とされる部分で、No.1というコンテンツは、信頼性以外にも、これしかない!という意識を生みやすく、購買の最後の後押しや正しいと思わせるコンテンツに当たります。
このように、これをマーケティングに活用させていくことが信頼マーケティングとなります。
No.1だけではもったいない信頼コンテンツについて
私の経験上から、信頼マーケティングのコンテンツ群は、購入の後押しをするという側面から、トップキャッチやビジュアルなどの訴求部分を変えるよりもインパクトは低いが当たる確率は高くなります。
つまり、レスポンス向上が安定的に見込めると言うことです。
どのタイミングからでも見直しは可能ですし、発売後の商品のUSPを容易に変えることができないケースにおいては重要です。
また、テストとしての安定性も高いことから、網羅的に知っておくことはどんなときでも使えるテクニックを知ることにもなります。
これらのことから、No.1マーケティングは、購買心理などの面から見ても重要であると言えますが、それだけではもったいないと私は考えています。
なぜなら、No. 1だけを押さえていると全体が見えなくなってしまうからです。
No. 1に繋がっている信頼を支えるコンテンツを包括的に知ることは、今後のプロモーションに生かせることだと考えています。
だからこそ、今回はNo. 1マーケティングをより俯瞰的に見るために、信頼マーケティングについてしっかりお伝えしたいと思います。
信頼コンテンツの考え方と整理
まず、マジワンの説得のコンテンツについての大枠の考え方をお伝えします。
マジワンでは、PASONAにおいて「SO:Solution(解決策)」から「N:Narrow down(絞り込み)」商品を軸にして共感性や信頼性のコンテンツを作り、そこからより信頼性のある情報に持っていくことが重要と考えています。
それを踏まえ、信頼の考え方は商品がどのように信頼されるのかを商品からの軸で整理することが重要です。
そこで、今回はこの4つの軸をコンテンツとして考えていきます。
- 「商品を使うお客様」の軸
- 「商品が繋がっているメディア(社会)」の軸
- 「商品が所属しているジャンル」の軸
- 「商品そのもの」の軸
信頼を生み出すための4コンテンツ
コンテンツとメディアと商品ジャンルに関してはよく使われていますが、商品そのものについては見落としている企業が多いため、この4つに分けて整理していきます。
「商品を使うお客様」の軸
これは信用にも近いと思いますが、お客様と同一の目線で信頼できるつながりやコミュニティ内で選ばれているなどのコンテンツとなります。
自分と同じ悩みを持つ友人などからおすすめされると、つい買ってしまうイメージですね。
具体的には、
・友達や同じ悩みを持つ人の口コミ
・親近感を持っているインフルエンサー(インスタグラマー、ユーチューバー)
・家族など個人の延長線上で、一定度の共感性があって信頼できる物や人
などが挙げられます。
これらを信頼的なコンテンツとしてみせる方法は
・口コミ的な体験談
・インフルエンサーの活用
・商品満足度のリサーチやランキング
などがありますね。
他にも、多くの人が選んでいることを表す「売上No. 1」もあります。
これは、身近な部分の延長線で得られている信頼度の照合と言えます。
また、口コミは内容をしっかりと見られているため数だけでなく質も大切になりますね。
「商品が繋がっているメディア(社会)」の軸:商品がつながっている社会
ここでのメディアとは、新聞や雑誌などのマスメディア、業界関係のメディア、そして、公共性という意味での有名人を意味しています。
その上で、メディアは公共性に繋がっていることで認められ、それが信頼にも繋がることが第一前提です。
具体的には
・メディアでの掲載歴
・メディアにおける賞等を獲得した受賞歴
・著名人における推奨、推薦
これらは、テレビコマーシャルにも醸成され得るコンテンツなので、雑誌や広告に組み込んでいくことが相乗効果に繋がるケースもあります。
「商品が所属しているジャンル」の軸:ジャンルにおける権威と呼ばれる存在
所属する業界における繋がりが重要になってきます。
ことさら、健康食品においては医師であったり、化粧品においてはエステティシャンであったり、そのような健康業界や美容業界といった部分が大事になってきます。
さらには、大学の博士などもこの権威と呼ばれる部分に含まれますね。
・医師
・エステティシャン
・関係業界における博士
・大学の研究者(博士)
この部分をコンテンツにする場合はこのようになります。
・業界内において医師や研究者など専門家の推奨やコメント
・医師との共同開発
健康食品や化粧品においては健康度合いを考えた時に、医師による発信が大きな情報になるため(法律上、化粧品に医師の出演はNG)、医師が共同開発したことも一つの強みとなります。
また、近年では、医師の推奨何%という形式で、業界内の牽引者と呼ばれる方における推奨度を出すサービスも出てきているようです。
「商品そのもの」の軸:商品が持つトーン&マナー
トーン&マナーとは、服装や言葉遣いによって人間としての信頼性が変わることを意味しており、商品にも同じことが言えます。
広告における服装等にあたる部分は、言葉の選び方や遣い方、デザインにおいての色使いやフォントなど統一性を出して整理することです。
この部分が曖昧のままだと、メディアに取り上げられても、権威ある方が評価しても、本当に正しいのか?と信頼されにくくなります。
・商品そのものをコンテンツとして整理
・商品自体の立ち位置や表現を考える
また、トーン&マナーはブランディングにも近いため、商品自体の立ち位置が分からずに作っても意味がありません。
親近感のある商品ならポップなパッケージ、医師と共同開発した商品ならブルーを基調としたデザインなど、表現を考えることも同時に大事なことと言えます。
4つの視点をもとに商品を整理
これまでのコンテンツの議論では、「お客様」「メディア」「権威」この3つが重視されていました。
しかし、自分たちがどのような表現をすることで言葉が信頼されるかも大事なので、「トーン&マナー」を加えた4つの視点でしっかりと整理していくことが重要です。
信頼コンテンツを生かしたマーケティング活動
今回は、近年よく見かけるNo. 1マーケティングからの信頼マーケティングについてご説明して、この記事が実際のマーケティングの場においてどのように使えるのかを解説しました。
そして、信頼コンテンツの考え方、4つの信頼コンテンツの大枠、その4つの信頼コンテンツがどう派生するのかについても解説しています。
お伝えしたこと全てをしっかりと行うことは重要ですが、商品を見ていただくターゲットに対して、伝わりやすい情報を見定めることも重要です。
それにより、どのベクトルでどんな方向性のコンテンツを充実させていけば良いかの整理にもなるからです。
例えば、女子高生がターゲットなら医者よりもインフルエンサーなど、共感性の高いコンテンツの方が売れやすくなります。
そのため、商品やターゲットに対してどのコンテンツを整理するかを考え、実験しながら拡充させることが重要です。
過去のテストをしっかりと俯瞰して、お伝えしたように整理して次に生かすことができれば、これまでやってきたマーケティング活動よりも、より精度があがると思います。