電通デジタルとアドビ、消費者のデジタル体験に関する調査の結果を発表

株式会社電通デジタルとアドビシステムズ株式会社(以下、アドビ)は、日本の消費者1,000人を対象にデジタル体験の好みや企業への期待について調査を実施した。
主な調査結果は以下の通り。

〈主な調査結果〉
①約6割(61.7%)の消費者が企業のマーケティング活動においてネットの検索履歴や購買履歴が参照されていると認識
約6割(61.7%)の消費者がインターネットやスマホアプリの検索や利用の状況、会員情報や購買履歴、位置情報などを企業が参照してマーケティング活動を行っていることについて、「知っていた」または「そうかもしれないと思ったことがある」と回答。
企業にデモグラフィック情報等の個人情報を参照されても構わないかという質問に対しては、「参照されたくない」という回答は約5割(53.5%)に留まった。このうち「個人情報」の中で、どのようなデータであれば参照されても構わないか聞いたところ、「性別/年齢」(37.1%)や「趣味/興味/関心」(22.2%)は比較的高い結果だったのに対して、「転職や引越のようなライフスタイルの変化」(2.2%)は低い結果となった。

②消費者にとってメリットのあるデジタル体験を積み重ねることで、参照されても構わない個人情報にも変化
消費者の潜在意識を探るために、デジタル体験を構成する要素の最適な組み合わせを探るコンジョイント分析(※)を実施したところ、個人情報の中で「転職や引越のようなライフスタイルの変化」は+0.02との結果となった。これは「ライフスタイルの変化」に関する情報についても、消費者が自分にとってメリットのあるデジタル体験を積み重ねる中で、参照されても構わないと感じるポテンシャルがあることを表している。

③情報の種類、プロモーションやお知らせを受け取るタイミングと方法がデジタル体験に対する消費者の認識に影響を与える
同様のコンジョイント分析から、情報の参照元や個人情報、プロモーションやお知らせを受け取るタイミングや方法等の要素をうまく組み合わせることで、消費者がデジタル体験をポジティブに受け取る可能性があることも分かった。
例えば、情報の参照元であるSNSの公開情報(-0.27)で、個人情報の家族や子供の情報(-0.29)を参照されることには抵抗が強いものの、受け取るタイミングが購入日や会員登録から何周年というような節目であり(+0.22)、受け取る方法はSNS広告(+0.05)で、その内容がセールなどの催事案内(+0.74)であれば、合計+0.45となり、消費者にとってポジティブなデジタル体験になり得るとの結果となった。

この結果からは、消費者は企業に参照されてもよいと感じる情報の内容について、自分にメリットがあるかどうかを潜在意識で判断しており、プロモーションやお知らせ等、自分のメリットに繋がることがイメージしやすい情報については、参照されても構わないとする一方で、「転職や引越のようなライフスタイルの変化」については通常企業側から直接的に質問をする機会が少ないため、現在のところ消費者にはメリットが感じにくいのではないかと推測され、今後、消費者にメリットがあるデジタル体験が増えれば、ライフスタイルの変化についても企業に公開してもよい情報としての認識が高まることが期待されるという。

〈調査概要〉
電通デジタルとアドビがEdelman Japan調査部門に委託し、2019年7月に日本の20~60代の1,000人を対象にデジタル体験についてオンライン調査を実施。

※コンジョイント分析:商品やサービスを購入・利用する際、消費者が手に入れることができるものは、複数の要素で構成されており、要素ごとに様々な水準=選択肢がある。プロモーションやお知らせについても同様で、自分にメリットのあるものを選別する。
このように消費者は、制約と無数の組み合わせがある中で、何かを重視すると同時に諦めながら物事を選別しており、その際どのような状態であればどれくらいプラス/マイナスに作用するかを示す値を「効用値」と呼ぶ。理論上、最も高い効用値の組み合わせが「最高の組み合わせ」となり、最も低い効用値の組み合わせが「最悪な組み合わせ」となる。仮に幾つかの要素でマイナスの選択肢があっても、組み合わせる他の要素によってはマイナスが相殺され、逆に差し引きプラスになることも可能。