トレンダーズ、SNSは「見るだけで発信しない女性たち」に関する調査を実施
トレンダーズ株式会社は、InstagramやTwitterなどのSNSで「発信せず、情報収集をメイン」に活用する女性たちを「SNS“見る専”クラスタ」と命名し、20~30代女性1000名を対象にその実態について調査を実施した。
従来、SNSユーザーのインサイトを捉えるためには、SNSでの発信内容を分析する「ソーシャルリスニング」の手法が一般的だったが、実際にはSNSを「見ているだけ」のユーザーも多く、発信内容の分析のみではSNS利用者のインサイトを全て捉えることが難しくなってきている。そのような背景を踏まえ、同社は、実態が見えづらい「見ているだけ」のSNSユーザーのインサイトを探るべく、調査を行った。
同調査では「自らは発信せず、情報収集をメイン」(閲覧頻度は週に1回以上、発信頻度は月に1回以下)に活用している女性を「SNS“見る専”クラスタ」と定義した。なお事前調査で各SNSを週に1回以上閲覧している女性1000名を対象に、「見る専クラスタ」の比率を調査したところTwitter、Facebook、Instagramの各SNSにおいて半数から8割近くの割合で存在することが判明しており、SNSユーザー全体における「見る専クラスタ」の多さが分かった。
「見る専クラスタ」が発信頻度を抑えている理由としては、「不特定多数が見るかもしれないSNSでプライベートな情報を発信することに抵抗があるから」「発信する情報が特にないから」「情報発信をするのが面倒だから」などの意見が上位となった。
また同社は今回の調査で「見る専クラスタ」の対極にある、おしゃれな料理の写真やフォトジェニックな最新スポットなどの他人の目を引く「キラキラ投稿」を積極的に行い、自分自身のブランディングにも活用する層を「見て専クラスタ」と呼び、「見て専クラスタ」を見かけたことがあるSNSを尋ねた。その結果、圧倒的にInstagramを中心に「見て専クラスタ」が出現していることが分かり、Facebook、Twitterと続いた。
「見て専クラスタ」を見かけたことがある人の感想は「マネはしないが気になってつい見てしまう」が半数を超え、投稿内容も情報収集の対象として気にして見ていることがわかった。
具体的な意見を分析すると、同じSNS活用者であっても「見る専クラスタ」は、「見て専クラスタ」の投稿内容に対して「自分と違う」と考え、冷めた意識を持っていることがうかがえるという。
さらに、「情報収集ツール」としての側面を探るべく、SNSで収集している情報の種類をきいたところ、いずれも「知人」や「芸能人」の近況といった個人の情報が目立つが、Twitterでは「ニュース」、Facebookでは「料理のための情報」、Instagramでは「美しくなるための情報」が“近況”の情報に次いで収集されており、SNSがあらゆるジャンルの情報を集めるためのツールと化していることがわかる。
また、「他人」「企業公式アカウント」「メディア公式アカウント」について、「いいね!」をしたり「お気に入り」に登録したりするなど、何らかのアクションを行うのはどんなときかという質問に対しては、他人の投稿は「『応援したい』と思う投稿」「(画像などが)『おしゃれ』と思う投稿」など、共感やセンスの良さに関心が集まる一方、企業公式アカウントは「『おしゃれ』と思う投稿」に加え、「(ネタ・バズ系動画など)『面白い』と思う投稿」も心が動く要素の一つに挙げられた。さらにメディア公式アカウントでは「『面白い』と思う投稿」が「『おしゃれ』と思う投稿」をわずかに上回るなど、「個人」の投稿とは異なり、企業やメディアのアカウントに求められるのは「ユーモアのセンス」であると同社は分析する。
「情報収集」から「商品購入」にいたるSNS活用経路を調べるための「SNSをきっかけに物を買ったり、イベントに参加したりした経験」についての質問には、約7割が「経験あり」と答えたという。「新商品や新サービスを購入するきっかけ」になると思うのはどんな投稿か、という問いに対しては「友人や知人のオススメ投稿」、「芸能人・著名人のオススメ投稿」が大きく力を持つ一方で、「企業公式アカウントの投稿(他人からシェアされた投稿を含む)」や、「ニュースメディアアカウントの記事投稿(他人からシェアされた投稿を含む)」の影響力も無視できないことがわかった。
「見る専クラスタ」な女性が商品の購買にあたり心を動かす投稿内容については「おしゃれ・かわいい・面白い『画像』」が最も多く、「コスパのよさや時短術など『生活に役立つこと』」「使い方などを紹介する『動画』」が続いた。目を引きやすい画像や動画といったビジュアルが心に刺さりやすい一方で、「流行り」よりは「お得な情報」を求める生活者としての堅実さも見てとれるという。
同社は、今回の調査で判明した、SNSを“見るだけで発信しない”「見る専クラスタ」の実態について、キラキラした内容の投稿で自身の生活をブランディングし、“他人に見せたい”「見て専クラスタ」たちとは一線を画し、料理や美容といった生活のための情報収集ツールとしてSNSを活用していることがわかった、とし、企業・メディアアカウントから受け取る情報においては彼女たちの心を刺激するアクセントとして、投稿内容の「おしゃれさ」や「面白さ」の要素が必須であることや、彼女たちの心が「きれいな画像」「お得な情報」に動かされることも明らかになった、と結論づけている。